2型糖尿病者における末梢神経障害が下腿筋に与える影響

DOI

抄録

<p>【背景および目的】</p><p> 糖尿病末梢神経障害(DPN)は,2型糖尿病(T2DM)の生活の質を低下させる合併症の一つである。本研究の目的は,T2DMにおいてDPNが下腿筋の筋厚,筋輝度,筋力および歩行速度に与える影響を明らかにすることである。</p><p>【方法(または症例)】</p><p> 対象はT2DM患者24名(年齢69.3±10.6歳,男性16名,女性8名,糖尿病推定罹病期間5.67±5.56年,Mean±SD)であった。超音波診断装置にてヒラメ筋,腓腹筋,前脛骨筋の筋厚及び筋輝度を測定した。また,足関節の底背屈筋力および握力を測定した。その他,体組成,通常歩行速度を測定した。</p><p> 対応のないT検定またはMann-WhitneyのU検定を用い,DNP群と非DNP群を比較した。また,DPNの有無に関連する因子を,ロジスティック重回帰分析を用いて検討した。統計学的有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p> DPN群では罹病期間が有意に長く(p=0.045),ヒラメ筋の筋厚が有意に小さかった(p=0.022)。その他の筋厚や筋輝度,筋力,体組成,歩行速度には有意な差を認めなかった。ロジスティック重回帰分析の結果では,DPNの有無に関連する因子として,ヒラメ筋の筋厚(p=0.048),足背屈筋力(p<0.050)が抽出された。</p><p>【考察および結論】</p><p> 今回の結果ではDPN群で,ヒラメ筋に特異的な萎縮を認めた。また,DPNを有するT2DM患者では,ヒラメ筋の萎縮が,体組成や歩行速度の低下に先行して生じることが示唆された。DPNを有するT2DM患者では,下腿筋の萎縮に対する評価と予防的な介入が必要と考えられた。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 本研究は霧島市立医師会医療センター倫理委員会の承認を得たものである(第2803)。対象者には事前に研究内容について説明を行い,書面にて同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-113_2-A-113_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158114176
  • NII論文ID
    130007692352
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-113_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ