文部科学省補助金事業「課題解決型高度医療人材養成プログラム─高度リハビリテーション専門職の養成」で展開した「臨床指導者養成教育コース」の紹介とその成果について
抄録
<p>【はじめに】</p><p>理学療法士および作業療法士の養成課程における臨床実習については,従来のあり方から大きな変革を求められている。長崎大学医学部保健学科(以下,本学)は平成26 年度から5 年間,文部科学省補助金事業「課題解決型高度医療人材養成プログラム─高度リハビリテーション専門職の養成」に採択され,「臨床指導者養成教育コース」(以下,本コース)を展開してきた。そこで今回,本コースの内容を紹介するとともに,これまでの成果について報告する。</p><p>【方法】</p><p>本コースでは,質の高い臨床実習指導者の養成と臨床教育の充実を目的として,臨床実習教育に携わる理学療法士・作業療法士を対象に総時間120 時間のプログラムを展開している。具体的には,理学療法・作業療法の対象疾患のトピックスに関するe-learning,クリニカルクラークシップ(CCS)やコーチング論に関する集中講義,受講者とそのOn the Job Training(OJT)指導者ならびに本学教員の3 者で実習指導内容を確認し,適宜アドバイス等を行うOJT・実習モニタリングシステムから構成したプログラムである。今回は平成28・29 年度に本コースを修了した受講者84 名(PT:46 名,OT:38 名)を対象にアンケート調査を行い,本コースの成果について検討した。</p><p>【結果】</p><p>アンケートの回答者は75 名,回答率は89.2% であった。まず,e-learning については74 名(98.7%)が「大変良かった」もしくは「良かった」と回答しており,大変好評であった。また,クリニカルクラークシップとコーチング論に関する集中講義についても71 名(94.7%)が「大変良かった」もしくは「良かった」と回答しており,これも大変好評であった。加えて,自由記載の意見としては「CCS の必要性についてよく理解できた」,「実践にすぐに活かせる内容で良かった」など,ポジティブかつ良好な意見が多かった。OJT 実習モニタリングについては67 名(89.3%)が「大変良かった」もしくは「良かった」と回答しており,概ね好評であった。また,OJT 指導者との関わりについては63 名(90.0%)が,本学教員とのでは68 名(95.8%)が「大変良かった」もしくは「良かった」と回答しており,本コースの特徴である臨床指導者・OJT 指導者・教員の三位一体の教育システムも大変好評であった。しかし,その一方で「学生指導の場にOJT 指導者や教員がいないため,的確なアドバイスがもらえなかった」といった意見もあった。CCS の導入については,回答者40 名の内33 名(82.5%)が賛成との意見であった。最後に,本コースが受講者のニーズに合致していたか尋ねたところ74 名(98.7%)が「よく合致していた」もしくは「合致していた」と回答した。</p><p>【結論】</p><p>今回のアンケートの結果から,本学の臨床指導者養成教育コースは,理学療法士・作業療法士の生涯学習としての情報アップデートにつながり,臨床実習の充実に寄与していることが示唆された。しかし,一部の意見ではあるが,OJT・実習モニタリングにおいて受講者とOJT 指導者,教員の連携が不十分であったことなどがあげられており,今後の臨床実習の展開において改善が求められる点と思われる。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), D-37-D-37, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288158145152
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- NII論文ID
- 130007692821
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可