歩行能力と自己効力感に基づく訪問リハ利用者の特徴分類

書誌事項

タイトル別名
  • -クラスター分析による分類-

説明

<p>【はじめに・目的】</p><p>高齢者においては歩行能力と自己効力感が,転倒に影響を与えているとされており,訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)でも歩行能力を評価することは重要であり,訪問リハ利用者では歩行能力と自己効力感がギャップがあるのではないかと考える.よって,今回は歩行能力評価である2ステップテストと歩行自己効力感尺度であるModified Gait Efficacy Scale(mGES)を用いて,利用者像の特徴を明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】</p><p>対象は訪問リハ開始から30日以上経過した,2ステップテストとmGESの評価を行うことができた61名(男性22名,女性39名,年齢77.6±9.7歳)とし,横断的に調査した.</p><p> 主疾患名,過去6ヵ月以内の転倒歴をカルテ記録から収集し,歩行能力を2ステップ値(2ステップ距離/身長),自己効力感をmGESにて評価した.歩行能力についてRivermead Mobility Index(RMI),屋内外歩行手段,連続歩行距離,最大歩行距離の評価も行い,地域における移動性をFunctional Ambulation Classification of the Hospital at Sagunto(FACHS)から評価した.</p><p> 分析は歩行能力と自己効力感の特徴を明らかにするために,2ステップテストとmGESについてSpearmanの順位相関係数により相関分析を行った後,2ステップ値とmGESの合計点を偏差値に換算し,ユークリッド距離の2乗を基にしたクラスター分析(Word法)を行った.各クラスター間で年齢は一元配置分散分析,性別,転倒の有無はFisherの正確検定,その他の項目はKruskal-Wallis検定およびBonferroniの多重比較検定を用いて比較した.統計処理にはR2.8.1を使用し,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>主疾患は脳血管20名,運動器22名,廃用症候群8名,パーキンソン病6名,神経・筋疾患2名,脊髄損傷1名,その他2名.訪問リハ期間の中央値は371日.2ステップ値とmGESに弱い正の相関を認めた(p<0.05,rho=0.37).クラスター分析の結果4つのクラスターを得た.第1クラスターは2ステップ値が平均でmGESが高い11名,第2クラスターは2ステップ値,mGESが共に低い12名,第3クラスターは2ステップ値が平均でmGESが低い30名,第4クラスターは2ステップ値,mGESが共に高い8名であった. FACHSは第3,4クラスターが第2クラスターに対して有意に高かった(P<0.01).RMI,最大歩行距離は第1,3,4クラスターが第2クラスターに対して有意に長かった(P<0.01).転倒の有無はすべてのクラスターに有意差は認めなかった.その他の項目に有意差は認めなかった.</p><p>【結論】</p><p>今回の結果から歩行能力の向上に伴い歩行に対する自己効力感も向上する傾向にあるが,歩行能力はそれほど高くないのにもかかわらず,自己効力感が高いといったギャップが生じている利用者もいることが分かった.訪問リハでは利用者像の特徴にばらつきがあることから身体的・心理的な評価を行いその特徴に合わせた介入方針の検討が望ましいと考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>研究計画については秋津鴻池病院の倫理委員会の承認を得た.対象者には個人が特定されない連結不可能な形式でのデータ利用の可能性について説明し同意を得た.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), G-99_2-G-99_2, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158208512
  • NII論文ID
    130007693553
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.g-99_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ