早期離床時における自動カフ圧計の使用有無によるカフ圧変動差:症例報告

DOI
  • 垣内 優芳
    神戸市立西神戸医療センターリハビリテーション技術部
  • 岸本 和昌
    神戸市立西神戸医療センター臨床工学室
  • 加藤 博史
    神戸市立西神戸医療センター臨床工学室
  • 田中 利明
    神戸市立西神戸医療センターリハビリテーション技術部
  • 桜井 稔泰
    神戸市立西神戸医療センター呼吸器内科

抄録

<p>背景および目的</p><p>気管チューブのカフ圧はベッド上の体位変換で変動し,VAP予防のためには自動カフ圧計が有効である.しかし,早期離床に伴う端坐位時のカフ圧変動は明らかでない.今回,ベッドアップや端坐位における自動カフ圧計の使用有無によるカフ圧変動差を1症例で検討した.</p><p> </p><p>方法または症例</p><p>症例は肺炎後,心不全の急性増悪でICU管理中の68歳男性.体重48㎏.第2病日,理学療法開始,APACHEⅡ22点,CPAP(PEEP8),PS7,FIO20.3,FIM21点であった.カフ圧測定は呼吸器同条件で第2~4病日に行い,体位変換前には吸引してカフ圧を25㎝H2Oに調整した.姿勢はベッドアップ30,45,60度,端坐位とし,各姿勢は約3分毎に変化させた.自動カフ圧計smartcuff(村田製作所)による圧補正有無で圧力センサAP-C35(KEYENCE)とデータロガーZR-RX45(オムロン)を用いて連続的に圧力波形をサンプリング周波数10Hzで計測した.端坐位では圧力波形の最も低い再下点の中央値(IQR)と最小値を求めた.</p><p> </p><p>結果</p><p>呼吸数はベッドアップ10回前後,端坐位20回前後,1回換気量は400~900mLであった.圧補正なしではベッドアップ中30㎝H2O前後に上昇し,端坐位では圧力最下点の中央値21.6(20.5-23.5)㎝H2O,最小値18.0㎝H2O,圧補正ありではベッドアップ中25~30㎝H2Oで推移,端坐位ではバッキングを認めて吸引を要したが,中央値24.8(23.0-28.6)㎝H2O,最小値20.3㎝H2Oであった.</p><p> </p><p>考察および結論</p><p>先行研究同様に圧補正なしでは体位変換によりカフ圧変動を認め,端坐位では20㎝H2Oを下回るときがあった.圧補正ありではベッドアップでカフ圧変動は少なく,端坐位も20㎝H2O以上で,早期離床時のVAPリスクを軽減できる可能性が示唆された.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は,西神戸医療センター倫理審査委員会の承認(決定番号:2017-10)を得て実施した.また,対象者には紙面および口頭で本研究の趣旨と目的等の説明を十分に行い,本研究への参加について本人の自由意思による同意を文書で取得した.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-63_2-A-63_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158491392
  • NII論文ID
    130007692510
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-63_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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