周術期リハビリテーションを実施した肺癌肺葉切除患者における呼吸・身体機能および生活活動の術後変化
書誌事項
- タイトル別名
-
- -胸腔鏡補助下手術と開胸術の比較-
抄録
<p>【背景・目的】周術期リハビリテーション(リハ)を受けた肺癌患者の肺葉切除後の運動耐容能は、術後1か月で術前と同程度まで回復すると報告されているが、術式の影響は十分に検討されていない。今回は、肺癌肺葉切除患者の運動耐容能、呼吸機能、呼吸筋力、下肢筋力、呼吸困難および手段的日常生活動作(IADL)の術後変化を胸腔鏡補助下手術群(胸腔鏡群)と開胸群に分けて比較検討した。</p><p> </p><p>【方法または症例】対象は日常生活が自立し、肺葉切除を受けた肺癌患者40例(年齢69±6歳、男18例、女22例、胸腔鏡群23例と開胸群17例)。全例で手術1週前から周術期リハを行った。評価時期は、術前と術後1か月とし、6分間歩行距離(6MWD)、対標準努力性肺活量(%FVC)、対標準1秒量(%FEV1)、最大吸気口腔内圧(MIP)、最大呼気口腔内圧(MEP)、等尺性膝伸展筋力、修正MRC息切れスケール(mMRC)、Frenchay activities index(FAI)を測定した。統計解析は、Mann-Whitney検定とWilcoxon検定を用いた(有意水準5%未満)。</p><p> </p><p>【結果】年齢、性別および術前の各評価指標に群間差を認めなかった。両群において、術後の%FVC、%FEV1、MEP、FAIは術前よりも低下し、mMRCは増強した。術後のMIPは術前に比して、胸腔鏡群では増加したが、開胸群では低下した。各評価指標の変化率(術後-術前)は、6MWD(胸腔鏡群:1.1% vs 開胸群:-3.4%)、%FVC(-18.2% vs -21.9%)、%FEV1(-18.7% vs -21.7%)、MEP(-10.9% vs -17.0%)、膝伸展筋力(4.9% vs 6.2%)、FAI(-10.4% vs -23.1%)であり、MIP(11.6% vs -6.9%)にのみ有意差を認めた。術後のmMRCは、開胸群の方が胸腔鏡群よりも増強していた。</p><p> </p><p>【考察および結論】周術期リハを受けた肺癌患者の肺葉切除後1か月において、開胸群の吸気筋力と呼吸困難は、胸腔鏡群よりも回復が遅延すると考えられた。また、両術式ともに運動耐容能と下肢筋力は術前と同等に維持・回復されるが、呼吸困難とIADLの回復は不十分と考えられた。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】すべての研究対象者に対して、本研究の内容、プライバシーの保護、研究成果の発表、協力に同意しない場合も不利益は受けないこと、研究への協力は自由意志で決定できること、いつでも同意を取りやめることができることを十分に説明したうえで、書面および口頭にて同意を得た。また、特定の個人を識別することができないよう、研究対象者には番号を付与し、研究対象者の個人情報およびデータの秘密保護に十分配慮した。</p>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 46S1 (0), A-79_1-A-79_1, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001288158498048
-
- NII論文ID
- 130007692590
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可