徒手理学療法の革新
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- 松村 将司
- 杏林大学保健学部理学療法学科
書誌事項
- タイトル別名
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- ─頸部に起因するめまい症状に対するアプローチ─
抄録
<p> 運動器疾患をみていくなかで,頸部に問題を抱えている患者は少なくない。特にスマートホンの使用やデスクワーク時間が増加している現代において,頸部への負荷が増加していることは想像に難くない。頸部に起因する症状には様々なものがあるが,その一つにめまいがある。頸部に起因するめまいは,頸部痛や頸部の動きに伴って出現することが多いとされている。このような頸部痛,頸部の動きを改善するのに有効なものの一つが徒手理学療法である。</p><p> </p><p> 徒手理学療法の中の一つにKaltenborn-Evjenth conceptがある。この国際コースを修了し,臨床実習,試験に合格するとOMPT(Orthopaedic Manipulative Physical Therapist)を取得することができる。このコースでは,頸部に関する詳細な評価やアプローチはもちろんのこと,頸部に起因するめまいに関する講義もあり,世界ではめまいに対して理学療法士がアプローチしているのがうかがえる。</p><p> </p><p> 本邦でも,理学療法士国家試験において,めまいや前庭に関連する問題が毎年出題されており,理学療法士として知っておかなければいけない分野となっていることがわかる。しかしながら学部教育ではめまいに関する講義はほとんどない。さらに,臨床の現場でもめまい専門医である耳鼻科医との連携が不十分なのが現状である。しかし,今後,発展していく可能性は大いにあり,理学療法士としてめまいという症状に対してアプローチしていけることが求められる。</p><p> </p><p> 頸部に起因するめまいは1955年にRyanとCopeによってcervical vertigoとして報告され,現在はcervicogenic dizzinessと呼ばれている。これは頸部痛や頸部の動きに伴ってめまいが出現することが条件とされている。頸部を評価していく際,事前に安全性を担保するために頸椎のセキュリティテストは必須である。これによって,上位頸椎の不安定性や椎骨動脈の問題がないことなどを判断することが重要である。これらの評価のうえで,頸部に起因しためまいかどうかは,cervical neck torsion testやcervical relocation testなどが実施される。めまい症状の原因として頸部の問題が考えにくく,前庭を始め他の問題と思われる際には,主治医と相談のもと専門医に適切に紹介することも必要である。</p><p> </p><p> 本学会では,運動器理学療法の核心と革新がテーマとなっている。そこで,今回は頸部に起因するめまいについて,徒手理学療法によるアプローチを含め紹介する。頸部に対する徒手理学療法が有効となる症状の一つに,めまいも含まれることを知っていただく機会となれば幸いである。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H1-35-H1-35, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288158577536
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- NII論文ID
- 130007693569
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可