Laser Range Sensorを用いた大腿骨近位部骨折患者のTUG回転方向における時空間的パラメータの比較

DOI
  • 丸毛 達也
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 武田 尊徳
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 白滝 智洋
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 安原 康平
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 道下 将矢
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 吉野 晃平
    上尾中央総合病院リハビリテーション技術科
  • 飯島 弘貴
    慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科
  • 高橋 正樹
    慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>大腿骨近位部骨折は高齢者に頻発する骨折であり、受傷後の歩行・バランス機能の低下が報告されている。Timed Up and Go test(以下、TUG)は立ち上がり、歩き出し、歩行、方向転換、着座などの複合的な動作評価であり、歩行・バランス機能の評価指標として用いられているものである。TUGは安定性の確認のために行われる事が推奨されているが、実際は対象者の施行時間と転倒リスクなどのカットオフ値との比較のみに使用されている事がほとんどである。Laser Range Sensorは照射されたレーザーで足の軌跡を捉えることで、TUGの各タスク下での時空間的パラメータを算出する事が可能である。本研究ではLaser Range Sensorを用いて、大腿骨近位部骨折患者のTUGにおける健側・患側回りそれぞれの時空間的パラメータを比較し検討する事を目的とした。</p><p>【方法】</p><p>大腿骨近位部骨折患者2名に対してLaser Range Sensorを用いたTUG測定を行った。TUGは左右両方向で2回ずつ、計4回実施した。Laser Range Sensorにより計測した各歩行パラメータを患側回りと健側回りに分けて統計学的手法を用いて比較した。</p><p>【結果】</p><p>健側回りと患側回りにおいて、回転基準であるコーンと足着床位置の最短距離と、施行時の横方向幅に差が認められた。患側回りがよりコーンに近い位置に着床しており、横方向幅も患側回りの方が狭かった。全施行時間や反応時間などの時間的パラメータには有意な差が認められなかった。</p><p>【考察】</p><p>大腿骨近位部骨折は転倒による受傷がほとんどであり、TUG測定による歩行・バランス機能の評価は重要となる。今回の測定では患側回り、健側回りで遂行時間に差がみられなかったものの、患側回りの方がより狭い空間で動作を遂行していることがわかった。健側周りと患側周りでは異なる戦略を用いて動作を遂行している可能性が示唆された。しかし、これらの戦略の違いが機能障害の影響か遂行機能の問題なのかを今後コホート研究や縦断的計測により明らかにする必要がある。</p><p>【結論】</p><p>今回の研究から、遂行時間の測定のみでは判定できない機能的制限の特徴がLaser Range Sensorを用いることによって臨床で簡便に測定可能となる事が示唆された。この測定方法は、理学療法介入による機能的制限の改善の客観的指標となりうると考えられる。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は上尾中央総合病院倫理員会の承認のもと実施した。対象者には研究の内容と方法を書面及び口頭で説明し、同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), I-133_1-I-133_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158636160
  • NII論文ID
    130007694185
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.i-133_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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