基本的な包丁操作における巧拙のバイオメカニクス的観察

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タイトル別名
  • Biomechanical observation of skill in basic kitchen knife operation

抄録

<p>【目的】演者らは先行研究において,リンゴの丸むき操作が巧みな者と稚拙な者では,包丁の持ち方,包丁の角度,包丁を持つ手の親指の動きが異なっていること。また,巧みな者は,両手が規則的な動きをすることを見出した。さらに,そこから見出されたポイントをもとに包丁操作の指導を行った結果を本学会で発表している。</p><p>本年度は,さらに巧拙による包丁操作の違いを明らかにすることを目的とし,調理経験が長く高度な技術を持つプロの料理人と食物系学科の学生を被験者として,リンゴの丸剥きという基本的な包丁操作中のバイオメカニクス的観察(モーションキャプチャー,筋電計の測定)を行った。</p><p>【方法】日本料理店に10年以上勤務した料理人1名を包丁操作が巧な被検者として,スクリーニング調査においてリンゴの丸剥きが巧であると評価された学生2名を学生被検者とした。リンゴの丸剥きにおける両手指,包丁の動きを観察するために,両手指および肩に6か所ずつと包丁の2か所に反射マーカーを付け,モーションキャプチャーで動きを記録した。合わせてビデオ撮影も行った。両手の筋肉の動きを観察するために左腕に5か所,右腕に3か所筋電計を装着し,筋肉の動きを測定した。</p><p>【結果および考察】リンゴの丸剥きにおいて,プロの料理人の姿勢はほとんど動かず,安定していた。包丁の位置もほとんど変化しなかった。リンゴを持つ手は指を常に動かし,弱い力でリンゴを回転させていた。包丁を持つ手にも無駄な力がはいらず,包丁を動かすときのみ右の母指球筋と第一背側間筋に力が入った。それに対して,学生被験者は姿勢が安定せず,包丁の動きが大きく,無駄な力が入っていることが分かった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158663936
  • NII論文ID
    130007695649
  • DOI
    10.11402/ajscs.31.0_125
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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