北海道高島沖の定置網に混獲された幼ネズミイルカの卵巣組織

  • 本間 義治
    新潟大学大学院医歯学総合研究科細胞機能講座顕微解剖学分野
  • 牛木 辰男
    新潟大学大学院医歯学総合研究科細胞機能講座顕微解剖学分野
  • 武田 政衛
    新潟大学大学院医歯学総合研究科細胞機能講座顕微解剖学分野
  • 松石 隆
    北海道大学大学院水産科学研究科資源生産生態学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Notes on the Ovarian Histology of a Young Harbor Porpoise, Phocoena phocoena, Caught in Takashima, Hokkaido, Sea of Japan

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抄録

<p>2005年4月21日に、北海道小樽市高島沖の定置網に混獲された全長1.3mの幼ネズミイルカ(♀)(日本鯨類研究所登録番号0-1754)から摘出され、10%フォルマリン固定された卵巣と附属器官を組織学的に観察した。各器官をブアン氏液に再固定して、パラフィン切片を作成した。卵巣の左葉は長径13mm、重さ0.2g 、右葉は20mmと0.2 gであった。両葉とも、外観は円滑で豆型を呈した盤状体で、黄体や白体は認められなかった。皮質部は、ほとんど原始卵胞と一次卵胞で占められ、二次卵胞はわずかであった。髄質部は大量の間質組織からなり、まだ成熟グラーフ卵胞に達していない少数の胞状卵胞と閉鎖卵胞ならびに螺旋動脈がみられた。子宮腺は短い単管状で未発達であり、分泌物は検出されず、膣壁の重層扇平上皮層の剥離は生じていなかった。このような初期卵子形成段階にとどまる組織像は、このネズミイルカがまだ幼若個体であることを示していた。</p>

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