開放型風洞における放射冷却の再現の試み

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タイトル別名
  • An attempt to reproduce radiative cooling in an open wind tunnel

抄録

<p>地球の乾燥・半乾燥地域が占める割合は大陸の約4割であり、砂漠での結露水は比較的供給が安定しているため、利用することは有効な手段と考えられている。本研究では、乾燥・半乾燥地を模した土壌を製作し、夜間を想定した開放型風洞実験により結露水の重量変化を熱フラックスとともに実測し、熱収支式による理論値と比較する。このために、室内実験で放射冷却を再現する。</p><p>実験は、千葉工業大学津田沼キャンパス水理実験室に設置した自作の風洞により行った。使用した風洞は600mm×900mm×3mm厚のアクリル板4枚を金属製の梁と柱で固定したものを1ブロックとし、それを5つ繋げたものである。風上から3150mm〜3600mmのところで測定した。使用した主な測定機器は、アドベンチャー天秤(AX-5202)、クリモマスター風速計、放射温度計(IT-550)である。土壌模型には発泡スチロール容器内にステンレス製容器を設置しその中に粒径0.1mmのガラスビーズを敷き詰めたものを用いた。風上から3150mm〜3600mmの上側面をドライアイスで覆い夜間冷却を再現する。測定時間は30-60分間とし、5分ごとに測定を行った。測定項目は、土壌模型の重量・表面温度・地中伝導熱、風洞内温湿度・風速、冷却している風洞内面の放射温度の7点である。結露量は、測定開始と終了後の差から求め、大気圧は気象庁による千葉市の観測データを用いた。実験終了後、測定したそれぞれの値を熱収支式に代入し、実験条件における理論値を求め、実測値を比較した。</p><p>実験は夜間に行い、風洞内の温度19.5℃前後、湿度61%前後、風速0.5ms-1の条件で測定した。熱収支の差は、約30Wm-2であった。土壌模型の重量差より求めた実測値は約6Wm-2であり、ιEの約-7Wm-2と差はほとんどなかった。また、土壌の表面温度も開始時と終了時を比較すると約2.5℃の冷却がみられ、ドライアイスによる放射冷却量は51Wm-2であった。</p><p>現時点では実験条件が単一である。乾燥・半乾燥地の代表的な土壌や植生を用いたり加湿器を用いて風洞内の湿度を上げるなどの実験条件を増やしていく。そして、条件が変化した際の実測値と理論値の差異が小さければ、ある地域に類似した土壌を用いることによって放射冷却による結露水の量をより正確に計算することができる可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390002184849699840
  • NII論文ID
    130007759920
  • DOI
    10.11520/jshwr.32.0_144
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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