左翼ポピュリズムという幻影

書誌事項

タイトル別名
  • Illusion of Left-Wing Populism:
  • 左翼ポピュリズムという幻影 : ギリシアの急進左派連合とスペインのポデモスから
  • サヨク ポピュリズム ト イウ ゲンエイ : ギリシア ノ キュウシン サハ レンゴウ ト スペイン ノ ポデモス カラ
  • ―ギリシアの急進左派連合とスペインのポデモスから―
  • Greece’s SYRIZA and Spain’s PODEMOS

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説明

<p>ポピュリズムはデモクラシーにとって必ずしも害悪ではなく, 主流政党が取り上げない争点を取り上げ, デモクラシーを活性化させる側面もある。また, 排外主義的な右翼ポピュリズムに対抗できる左翼ポピュリズムこそ必要であるとする立場もある。本論は, 左翼ポピュリスト政党としてギリシアの急進左派連合とスペインのポデモスをとりあげ, デモクラシーへの影響について検討する。両党の成長と国内政治の変容プロセスをたどり, ポピュリズムの類型やパフォーマンスから, 左翼ポピュリズムの課題を考察する。両党は, 反緊縮を訴えて社会運動のエネルギーを議会政治に取り込み, 多くの若者らを政治に参加させて勢いにのった。しかし, 議会多数派を目指す段階でトップダウンの集権組織に転換して, 運動との連携は薄れ, 当初の主張も変化させていった。ポピュリズムに内在する 「人民」 の同質性と多元性との緊張関係や, 社会運動と議会政治との連携方法が課題である。成長するポピュリズムの類型は国内条件により規定されており, 欧州議会の影響力が弱い現状では, 左翼ポピュリズムが右翼ポピュリズムに対抗する図式とはならない。また, 右翼ポピュリズムのように, 想像可能な物語を示すことができない点も弱みである。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 67 (2), 2_144-2_162, 2016

    日本政治学会

参考文献 (8)*注記

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