The Existence of “the Pingpu Tribe Peoples” in terms of Japanese Colonial Taiwan

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  • 日治時期台灣「平埔族」之統治理論中的意義
  • 日治時期台灣「平埔族」之統治理論中的意義 : 透過其教科書研究
  • ヒチジキ タイワン 「 ヘイホゾク 」 ユキトウチ リロン チュウテキ イギ : トウカ ソノ キョウカショ ケンキュウ
  • A Focus on their Primary Textbooks Research
  • -透過其教科書研究-

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Abstract

Ⅰ.本稿の概要<br>  本稿は、日本は台湾の人々を3つに分類することで台湾統治の円滑化を試みた、という仮説の検証を試みるものである。従来の研究では、「漢人」及び「高山族(主として山地や東部に住む原住民、漢化≒半文明化されてない原住民)」の視点からのみ日本の台湾統治が述べられていたが、本稿では新たに「平埔族(主として平地に住む原住民、漢化≒半文明化された原住民)」という視点を取り入れた。その結果、日本が台湾において江戸時代の「士農工商えた非人」に類似するような階層構造を持ち込んで支配を行なっていたことが解明された。すなわち、一方的に支配したという従来の植民地統治論と異なり、その現地の情勢を巧妙に利用した統治理論が存在したのである。本稿においては、その巧妙な統治理論を、結果として如実に現れることになった台湾総督府発行の「漢人」、「平埔族」、「高山族」用の三種の初等国語(日本語)教科書の比較分析から解明している。<br>  なお、本稿はその研究目的を達成するため、「1.はじめに」、「2.分析背景と分析手法」、「3.『台湾人』(『漢人』,『平埔族』,『高山族』)用初等教科書の比較分析」、「4.おわりに」の全4章によって構成されており、議論の中心は第3章となっている。<br> Ⅱ.本稿の分析結果<br>  台湾の教育において、「日本人(内地人)」が「台湾人」(「漢人」、「平埔族」、「高山族」の総称、以下略)よりも上位の存在に位置づけられたことは議論を必要としない。一方、三者すべての「台湾人」が平等な第二位の存在として教えられていたことも確認できる。しかし、「漢人」に対してのみは、野蛮な「原住民」(「平埔族」、「高山族」の総称、以下略)という第三位の存在が教えられていた。具体的には、「呉鳳」教材など「漢人」が「原住民」を指導・改善していく教材を確認できた。その結果、「漢人」は「原住民」に対して優越感を覚えるが、「原住民」に対しては「漢人」の存在が教育でまったく教えられていないことから劣等感を生じさせることにはつながらなかった。具体的には、台湾の総人口の約9割を占める「漢人」を主人公とした教材(「呉鳳」、「鄭成功」、「孔子」など)が、「原住民」用の教科書にはまったく確認できなかった。すなわち、「漢人」は第三位の「原住民」という江戸時代の「えた非人」に類似する存在がある第二位という位置づけに優越感を覚えるが、一方で「原住民」も自分たちが「漢人」に劣る第三位であると教えられない第二位という位置づけに不満が生じにくいのである。<br>  また、「漢人」が「日本人」の位置づけに近づけるのと同様に、「原住民」もその位置づけが固定化された存在ではなかった。より上位に位置づけられた「平埔族」と下位に位置づけられた「高山族」ではその地位に明確な差が存在し、「平埔族」の中でもより高度な教育が用意された半分と用意されなかった半分の「平埔族」が存在した。これら「漢人」、「平埔族」、「高山族」という「台湾人」をより上位の層に上昇したいと思わせたのが日本の教育であり、その階層構造の中心に存在したのが「平埔族」であったのである。「平埔族」の存在は、「台湾人」を流動的な存在として読み解くキーワードであり、その存在意義はさらに深く追求されていかねばならないのである。

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