心肺停止蘇生後、遷延性意識障害を呈した症例〜BISモニターを使用し、生活リズムを考慮した関わりを考える〜
抄録
<p>【はじめに】今回、心肺停止蘇生後、遷延性意識障害を呈した症例を担当した。BISモニターで覚醒状態を確認すると日中の覚醒レベルは高い状態にあった。また1日の覚醒状態を確認すると夕方の早い時間帯から睡眠状態に入っている事が分かった。そのためリハビリ介入の時間を調整する事で生活リズムの是正が図れたため報告する。</p><p>【症例紹介】80歳後半、女性。2月某日、ANCA関連血管炎から肺胞出血となり心肺停止し蘇生した。10病日体外式膜型人工肺を、34病日人工呼吸器を離脱した。3病日JCSⅢ-200、除脳硬直様の姿勢であった。26病日JCS Ⅲ-100、除脳硬直様の姿勢は消失したが四肢の随意運動は認めなかった。</p><p>【介入】26病日よりBISモニターを装着し覚醒レベルを確認した。日中BISモニターの数値は80以上で覚醒レベルは高い値を示し、16時頃より50前後となり覚醒レベルは低下し睡眠状態を示した。ご家族様には日中は声が聞こえる覚醒状態にある可能性が高い事を情報提供した。 また覚醒レベルが低下する時間帯にリハビリテーション介入をした。介入は端座位訓練や起立台を使用し立位訓練等を実施した。これらの介入を1週程度継続した。</p><p>【結果】16時頃に介入をする事でその時間帯のBISの数値は80以上を推移し、覚醒が低下する時間を約2時間遅らす事ができた。また介入翌日の日中は問いかけで容易に開眼し、開眼頻度が増え合視や表情変化も見られた。 これによりご家族様へ開眼している姿を見てもらう事ができ、ご家族様のメンタルケアを図った。</p><p>【考察】BISモニターを通して視覚的に見た覚醒状態と脳派でみた覚醒状態とでは解離がある事が分かった。覚醒が低下する時間帯に介入する事で覚醒低下時間を遅らす事ができ、翌日の日中の開眼頻度に影響を与えたと考える。覚醒と睡眠の時間帯を考慮して介入をする事でその時間帯の覚醒向上だけでなく、介入以外の時間にも影響を与え生活リズムを整える事ができると考える。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 38 (0), O-113-, 2020
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390002184860397312
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- NII論文ID
- 130007779613
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可