HybridCWHTO術後の歩行自立に与える因子〜血行動態からの検討〜

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抄録

<p>【目的】変形性膝関節症に対する手術法にHybridCWHTO(以下CWHTO)がある。当院において近年施術件数が増えてきているが、術後の歩行獲得にばらつきがある。先行研究では歩行獲得因子の検討は多くあるが一定の見解は見られない。ただし検討項目は身体機能や栄養状態が多く、炎症反応や創傷治癒に関与する血行動態による検討は無い。術後早期からの適度な荷重負荷は治癒を促進させるという報告もあり、術後ADLにおいて歩行自立は重要である。今回の目的は当院におけるCWHTO術後の早期荷重にむけた松葉杖歩行自立と、実用動作としてのT杖歩行自立に術後の血行動態が影響を与えるか検討することである。</p><p>【対象と方法】対象は2017年10月から2019年4月までに当院にて施行したCWHTO 12症例(男5名、女7名、平均年齢66.25歳)。群分けは松葉杖歩行自立・T杖歩行自立の獲得日数をそれぞれ中央値で分け、順調群と遅延群とした。調査項目は術翌日から5日目までと6日目から10日目までのそれぞれ朝昼晩の平均血圧(MBP)と脈圧(PP)の平均値(5日MBP・10日MBP・5日PP・10日PP)とした。統計解析はMann-WhitneyのU検定を用い、有意水準は5%とし、対象者には研究の趣旨を説明し同意を得た。</p><p>【結果】松葉杖歩行自立のみ5日MBPに有意差を認めた(P<0.05)。</p><p>【考察】平均血圧は四肢や臓器の血行動態に関係し、先行研究では四肢を対象とした外科術後の虚血再灌流障害による組織損傷が筋・神経に影響を起こし、4日頃より大きく軽減が見られると述べている。5日までの平均血圧のみ有意差を認めたことは術後の炎症時期の末梢血行動態が松葉杖歩行自立へ影響を与えた可能性がある。T杖歩行自立に関連性がなかったのは血行動態だけで無く、機能面や栄養状態などを含めた多数の因子に及ぶためと思われる。術後の創傷治癒や機能改善において血行動態は重要な要素であるため今後は症例数拡大、より精密な研究モデルの構築が必要である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390002184860782976
  • NII論文ID
    130007779577
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-031
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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