肝右葉切除後のC型肝硬変難治性肝性胸水例にTIPSを施行した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of refractory hepatic hydrothorax on hepatitis C-related cirrhosis after right lobe hepatectomy treated with transjugular intrahepatic portosystemic shunt
  • 症例報告 肝右葉切除後のC型肝硬変難治性肝性胸水例にTIPSを施行した1例
  • ショウレイ ホウコク カン ウヨウ セツジョ ゴ ノ Cガタ カンコウヘン ナンチセイ カンセイ キョウスイレイ ニ TIPS オ シコウ シタ 1レイ

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抄録

<p>74歳男性.C型肝硬変で他院通院中,肝細胞癌に対し2013年に肝右葉切除術を施行した.2014年5月に肝性胸水による呼吸困難で前医入院し各種利尿剤を開始されるも,胸水コントロールがつかず週1回の穿刺排液を要した.難治性肝性胸水に対するTIPS目的で同年8月当院紹介となった.左肝静脈より門脈左枝へアプローチし8 mm Wallstentを留置した.門脈下大静脈圧較差(PSG)はTIPS前後で22.4 mmHgから11.0 mmHgと低下し,胸水は減少し穿刺排液は不要となった.しかし10月下旬呼吸困難再燃し,11月外来受診にて右胸水増加と門脈血流速度の低下を認めシャント不全が疑われた.血管造影ではシャント内の狭小化とPSG上昇(15 mmHg)を認めたため,8 mmバルーンカテーテルにて拡張術を施行し,PSGは7 mmHgへと低下した.その後は胸水排液も必要とせずに安定して経過していたが,2015年9月に脳腫瘍にて死亡となった.今回我々は肝右葉切除後の難治性肝性胸水例に対し,残存する左肝静脈と門脈左枝にシャントを造設するTIPSを施行した.右葉切除後の残肝においてもTIPSは技術的に可能であり,また保存的治療が無効な難治性肝性胸水に対しTIPSは有用と認識された.</p>

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