初夏の噴火湾表層時計回り水平循環流の数値実験

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タイトル別名
  • Numerical experiments of surface clockwise circulation in Funka Bay during early summer
  • ショカ ノ フンカワン ヒョウソウ ドケイ マワリ スイヘイ ジュンカンリュウ ノ スウチ ジッケン

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抄録

<p>初夏の噴火湾で観測される最も顕著な物理現象は,表層の時計回り水平循環流システムである。本研究では典型的な成層期を想定し,(1)河川供給に伴う淡水化,(2)津軽Gyre 水の密度流的流入,(3)海面熱供給の3 つを強制力とした数値モデル実験を行い,この循環流の形成過程を調べた。その結果,この循環流の励起に寄与する基本的な物理的要因は,海面加熱強制により生じる「地形性貯熱効果」であることがわかった。加熱強制の初期段階では,浅い沿岸域と深い湾中央部の間に生じる水温差で駆動される鉛直循環流(重力循環流)により,反時計回りの弱い表層地衡流が形成される。継続的な加熱強制にもかかわらず,2 ~3 カ月経過した頃から,鉛直循環流は陸棚斜面上で冷たく重い海水の湧昇を次第に強化させる。沿岸近傍の斜面底層付近において,冷水湧昇による冷却量が下向き熱拡散による加熱量よりも大きくなったとき,沿岸表層水は沖合表層水よりも相対的に冷たくなり始める。その結果,内部境界面変位が岸側に向かって浅くなり,時計回りの表層地衡流への変化が生じる。この変化に応答して,北部湾奥の表層付近から時計回り水平循環流が形成され,一方で,初期に形成された反時計回り流は深い領域へと移動する。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 28 (4-5-6), 51-74, 2019-12-25

    日本海洋学会

参考文献 (10)*注記

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