ダブルバルーン内視鏡にて診断した盲係蹄症候群の長期経過に関する検討

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<p>【目的】 盲係蹄症候群は広義では腸管手術後などにより形成された盲端やblind loop内で腸内容の停滞のため細菌の異常増殖を起こし発症する。バルーン内視鏡により直接その存在を確認して診断できるが、長期経過を検討した報告は少ない。当院における盲係蹄症候群の長期経過を明らかにすることを目的に検討を行った。</p><p>【方法】 当院にて2001年7月~2018年12月の間にダブルバルーン内視鏡にて診断した盲係蹄症候群26例のうち、6か月以上の経過が確認できた20例(男性13例、診断時年齢中央値62歳、観察期間中央値81.5月)を対象に、診断契機、成因、抗菌薬投与の有無とその効果、その他の治療、手術例について後ろ向きに検討した。</p><p>【結果】 診断契機は血便10例、低蛋白血症5例、慢性貧血4例、腹部膨満感1例であった。成因は狭義のBlind loop 10例、self-filling typeのBlind pouch5例、輸入脚5例であった。抗菌薬投与は15例に施行され、うち14例が一時的には効果を認めた。その他の治療として、Blind loop内に生じた狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術、Over the scope clip(OTSC)による閉鎖術が各1例に行われ、いずれも有効であった。手術は8例に施行され4例は治療抵抗性の出血のため、3例は治療抵抗性の低蛋白血症のため、1例は遷延する食欲不振のためであった。いずれも術後は盲係蹄症候群に起因する症状は消失改善した。</p><p>【結論】 盲係蹄症候群の根治には外科的治療が必要だが、抗菌薬等の保存的加療により長期的に経過観察が可能な場合もある。</p>

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