Ⅱ型腸管症関連T細胞リンパ腫の診断における小腸内視鏡の役割

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抄録

<p>Ⅱ型腸管症関連T細胞リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma;EATL)は診断に難渋することが多く、消化管穿孔をきたして発症することの多い難治性小腸疾患である。今回われわれは異なる経過をたどったⅡ型EATLの2例を報告する。</p><p>【症例1】 70歳代、男性 【主訴】 腹部膨満</p><p>【現病歴】 発熱、腹痛のため紹介医を受診した。腹腔内遊離ガスを認めたが、穿孔部位は不明。低蛋白血症と腹水が出現し、当院紹介。</p><p>【経過】 当院にて小腸カプセル内視鏡(CE)を施行したところ空腸に深掘れの縦走潰瘍が多発。活動期のCrohn病を疑いプレドニゾロンの静注を開始したところ症状は軽快した。7日後に再度腹痛と遊離ガスの出現を認め緊急手術。空腸に癒着と穿孔を2か所認め、病理学的にⅡ型EATLと診断された。化学療法を行ったが6か月後死亡した。</p><p> </p><p>【症例2】 60歳代、男性 【主訴】 下痢</p><p>【現病歴】 1年前から持続する水様下痢の精査目的に当院に紹介となった。</p><p>【経過】 CEを行ったところ近位空腸にびらんが多発しており、ダブルバルーン内視鏡では空腸に白苔を伴う広い円形潰瘍が多発していた。生検でⅡ型EATLと診断。化学療法を行い1年間生存している。</p><p>【考察】 Ⅱ型EATLは診断が遅れると小腸病変が進行して消化管穿孔にて発症する。その場合は全身状態も不良で治療抵抗性である。一方、小腸内視鏡にて早期に診断できた場合、十分な化学療法を施行することが可能で予後が改善できる可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390002184863953280
  • NII論文ID
    130007787174
  • DOI
    10.32264/shocho.3.0_35
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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