当院で経験したCronkhite-Canada症候群3例の小腸病変の検討

DOI
  • 田中 啓仁
    鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病分野
  • 上村 修司
    鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病分野
  • 湯通堂 和樹
    鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病分野
  • 小牧 祐雅
    鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病分野
  • 井戸 章雄
    鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病分野

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説明

<p>【背景】 Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndrome; CCS)は、消化管ポリポーシスに脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着などの特徴的な皮膚症状を伴う非遺伝性疾患である。症例の約半数が小腸病変を有していると言われているが、小腸病変の画像報告例は少ない。</p><p>【目的】 当院で経験したCCS 3例の小腸カプセル内視鏡(CE)所見について検討した。</p><p>【結果】 症例1.60代男性。主訴は下痢、味覚異常、体重減少。2ヶ月前から下痢などの症状を認め、同時期から手指の色素沈着、爪の萎縮を自覚していた。上・下部消化管内視鏡(EGD、CS)で胃・十二指腸に腺管の拡張した発赤調ポリープの集簇、大腸に光沢のある発赤調小隆起をカーペット状に認め、CEでは全小腸にびまん性に発赤調粘膜、粘膜浮腫と絨毛の腫大をが観察された。これらの特徴的な内視鏡と皮膚所見よりCCSと診断し、PSL治療開始した。治療反応は良好で再燃なく経過している。</p><p>症例2.50代女性。主訴は皮膚色素沈着。6年前より両手背、手掌と上腕の色素沈着および手足爪の脱落を自覚しはじめたが、自然消退と増悪を繰り返していた。また4年前よりびらん性胃炎と胃過形成ポリープを指摘されていたが、経過観察されていた。徐々に嘔気と軟便を認めるようになり当科を受診した。EGD、CSにて胃前庭部を優位とする多発性発赤調ポリープ、回腸末端の絨毛萎縮と発赤調のポリープ、大腸にも発赤調ポリープが散在していた。粘膜生検にて腺の囊状拡張、粘膜の浮腫と炎症細胞浸潤を認めた。CEでは、全小腸に散在性の暗赤紫調小隆起と絨毛の萎縮を認めた。本症例も特徴的な臨床と内視鏡所見よりCCSと診断し、ステロイド治療を開始され経過は良好である。</p><p>症例3.70代男性。主訴は下痢、脱毛。EGD+CSにて胃にイクラ状の無茎性ポリープや有茎性ポリープ、大腸全体に発赤調ポリープが密集していた。粘膜生検で腺の囊状拡張、粘膜の浮腫、炎症細胞浸潤を認めた。CEで空腸主体だが全小腸に発赤調浮腫状粘膜、萎縮と腫大が混在した絨毛を認めた。これらの所見からCCSと診断しPSL治療が開始したが、PSL依存性のため免疫調節薬併用を要した。免疫調節薬併用後は、臨床的寛解となり4年後の内視鏡検査では特徴的な粘膜所見は消失していた。</p><p>【結語】 経験したCCS3例ともに全小腸に病変を認めたが、臨床所見やステロイド治療反応性との関連はなかった。発症から診断までの期間が長いほど、小腸の粘膜には多彩な所見を有する可能性があるが、さらなる症例の蓄積が必要であると考えられた。</p>

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