都市部におけるてんかん診療連携の現状と問題点、その課題と方策について

  • 菅野 秀宣
    順天堂大学脳神外科、順天堂大学医学部附属順天堂医院てんかんセンター
  • 原 恵子
    日本てんかん学会てんかん専門医療施設(センター)検討委員会 原クリニック
  • 前澤 聡
    名古屋大学脳とこころの研究センター、医学系研究科脳神経外科
  • 中野 美佐
    日本てんかん学会てんかん専門医療施設(センター)検討委員会 市立吹田市民病院神経内科
  • 安元 佐和
    日本てんかん学会てんかん専門医療施設(センター)検討委員会 福岡大学教育推進講座
  • 山内 秀雄
    日本てんかん学会てんかん専門医療施設(センター)検討委員会 埼玉医科大学病院てんかんセンター、小児科

書誌事項

タイトル別名
  • Current situation and future problems on epilepsy clinical network of metropolitan area in Japan

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説明

<p>【目的】日本におけるてんかん診療連携を考える際には、都市部と地方による診療体制や行政の取り組みの違いを把握しなければならない。本研究では都市部における診療連携の実際と問題点を把握する目的でてんかん診療に携わる医師へアンケート調査を行った。その結果より、有効な診療連携を構築する方策を考察する。【方法】本研究の対象は東京23区、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県とした。神経内科、脳神経外科、小児科、精神科、救急科いずれかの常勤医を有し、MRIと脳波検査が可能な病院の各診療科と、てんかん専門医が所属する施設からアンケート方式により調査を行った。【結果】対象5地域で1,312の依頼から214の回答があり、回収率は16.3%であった。対象医師の特徴は小児科医が47.9%と約半数を占めた。回答施設で施行可能検査は、一般脳波検査(97.2%)、薬物血中濃度測定(96.7%)、MRI(92.4%)、神経心理検査(69.7%)、長時間ビデオ脳波モニタリング(24.2%)であった。66.7%の施設はほぼ全年齢層の患者を受け入れており、外科治療を必要とする患者は11.8%の施設で、精神症状を有する患者は17.9%の施設で受け入れ可能であった。受け入れ困難な患者で最も多い理由は、強い精神症状を呈している(79.1%)という結果であった。成人診療科の66.4%で小児からの移行医療が、56.4%でてんかんをもつ女性の妊娠時の受け入れが可能とのことである。診療連携の構築には、簡単なことでも質問が出来る環境作り(59.3%)と学習をする機会の提供(57.9%)が必要という意見が多数を占めた。【考察および結論】日本の都市部においては対象人口に比し、てんかんセンターは不足しており、専門施設の増加と学習を基盤とした診療連携の確立が求められている。本結果より、都市部においては複数の診療圏を中心とした診療連携を構築することが望ましいと考えられた。</p>

収録刊行物

  • てんかん研究

    てんかん研究 37 (3), 755-765, 2020-01-31

    一般社団法人 日本てんかん学会

参考文献 (12)*注記

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