がん経験の中で再構成される自己アイデンティティ——ライフプランニングにおける就労に注目して——

  • 河田 純一
    大正大学大学院人間学研究科福祉・臨床心理学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Self-identity Reconstructed through Experiences as a Cancer Patient: Focusing on Work and Life Planning
  • がん経験の中で再構成される自己アイデンティティ : ライフプランニングにおける就労に注目して
  • ガン ケイケン ノ ナカ デ サイコウセイ サレル ジコ アイデンティティ : ライフプランニング ニ オケル シュウロウ ニ チュウモク シテ

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抄録

<p>現在、がんの慢性疾患化を背景に、就労が「がん患者」として生きていく上での課題となっている。就労は、単に経済的な課題ではなく、アイデンティティの再構成にとって重要な意味を持つ。本稿の目的は、がん患者が就労を軸としたライフプランニングの再編成を通じて、「がんになって以降の」新たな自己アイデンティティを再構成する過程を明らかにすることである。そこで、がん罹患時に就労していたがん患者にインタビュー調査を行った。本稿では、そのうちのひとりのがん患者の生活史を、再帰的自己論の観点から分析した。その結果、彼女の生活史は、「がんになる以前/以降」で断絶したかのように経験されていたが、ライフプランニングを再帰的に再構成するなかで、自己アイデンティティの一貫性が担保されていた。その鍵は、がんになって以降も仕事を続けていくというライフプランニング上の道標と、仕事の中で培ってきた他者からの信頼だった。</p>

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