この疾患ご存知でしたか? 耳鼻咽喉科医が診る先天性代謝異常症

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  • 第120回日本耳鼻咽喉科学会総会ランチョンセミナー この疾患ご存知でしたか? 耳鼻咽喉科医が診る先天性代謝異常症
  • ダイ120カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ ランチョンセミナー コノ シッカンゴゾンチ デシタ カ? ジビ インコウカイ ガ ミル センテンセイ タイシャ イジョウショウ

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説明

<p> 私たち耳鼻咽喉科医は, 先天性代謝異常症の治療にかかわることはほとんどないと思いがちであるが, 時になんとなく気になる症例に出会うことがある. なんとなく気になる顔貌, 落ち着きがない, 中耳炎が治りにくい, 風邪をひきやすい. そのような症例では, 先天性代謝異常症, 特にムコ多糖症も疑い, 尿中ウロン酸検査や血中酵素活性検査を精査する必要がある.</p><p></p><p> 先天性代謝異常症とは, 生命維持に必要なアミノ酸, 糖質, 脂質, ミネラル, 核酸などの物質が代謝される際に, これらの代謝をコントロールしている酵素や蛋白を合成するための各々の遺伝子に異常が起こり, 正常な酵素や蛋白が作られず, 代謝の過程に障害を来した状態である. 先天性代謝異常症に含まれる疾患は数百にもおよび, その蓄積する物質, 欠乏する物質により現れる症状, 疾患名が異なる.</p><p></p><p> その中でも耳鼻咽喉科医が診療することが多いであろう疾患はライソゾーム病に分類されるムコ多糖症である. 蓄積物質によってムコ多糖症はⅠ型からⅦ型に分類される.</p><p></p><p> 耳鼻咽喉科医が日常診療においてムコ多糖症を疑うべき症状, 所見としては, 特異顔貌, 繰り返す中耳炎, 難聴, 臍・鼠径ヘルニア (ヘルニア手術の既往), 関節拘縮 (手関節の鷲手変形, 肩が上がらない), 胸部X線における肋骨のオール状変形, 広範な蒙古斑などが挙げられる. ムコ多糖症Ⅱ型の患者においては, 中耳炎の発現時期が比較的早期なため, 未診断の状態で耳鼻咽喉科を受診している可能性があり, 注意しておく必要がある.疑いがあった場合には, 小児科医と連携し, 早期診断, 早期に治療開始をすることが重要である. また, 特に, その治療における麻酔, 鎮静に関しては注意が必要である.</p>

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参考文献 (11)*注記

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