動物園で暮らすマカクを対象としたポータブル式タッチモニタ装置による比較認知研究
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- 村松 明穂
- 京都大・高等研
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- マーティン クリストファー
- インディアナポリス動物園
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- 松沢 哲郎
- 京都大・高等研
書誌事項
- タイトル別名
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- Comparative Cognitive Study Using Portable Touch Monitor in Zoo-Housed Macaques
抄録
<p>霊長類を対象としたタッチモニタを用いた比較認知研究は,研究施設でおこなわれることが多かった。しかし,近年では,国内外の動物園においてもタッチモニタによる研究が行われるようになってきた。こうした動物園での認知研究を通じて,1) 飼育動物へのエンリッチメント,2) 来園者への新しい展示と教育の機会,3) 研究者がより広範で多様な種を対象とできる可能性,を提供できる。しかしながら,施設改修を必要とすることが多く,これが,動物園で認知研究をはじめる上での壁のひとつとなっていた。本研究で用いたポータブル式タッチモニタ装置は,バッテリーやフィーダー等を含むすべてを装置に内包しており,飼育ケージの金網に装置を引っ掛けるだけで実験をはじめることができる。本研究は,ポータブル式タッチモニタ装置を導入した際のマカクの反応・タッチモニタ課題の学習過程・実験場面での社会関係を分析し,来園者へのアウトリーチ活動としての効果について考えることを目的とした。日本モンキーセンター(愛知県)との連携研究として,日本モンキーセンターで飼育されているマカクのうち6種7グループを対象とした。ブタオザル(Macaca nemestrina),アカゲザル(Macaca mulatta),ニホンザル(Macaca fuscata),ボンネットモンキー(Macaca radiata),トクモンキー(Macaca sinica),チベットモンキー(Macaca thibetana)である。タッチモニタ課題は装置への馴致からはじめ,1) 画面の大きなドットをさわる,2) 小さなドット,3) 複数のドット,4) アラビア数字を順に,という内容で進めた。結果,すべてのグループが,数字の順序を学習する段階に至った。また,実験場面での社会関係では,限られた個体が独占的に装置に接近する種(ニホン・アカゲなど)と,複数の個体が比較的平等に接近する種(ボンネット・トクなど)に分かれることが明らかになった。来園者に向けたスタッフ・研究者による説明と来園者の反応についても報告する。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 35 (0), 41-41, 2019-07-01
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390002184884615808
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- NII論文ID
- 130007813471
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可