高崎山ニホンザルにおける母親による子への食物強奪行動と子の成長について
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- 栗田 博之
- 大分市教育委員会事務局教育部文化財課
書誌事項
- タイトル別名
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- Food snatching behaviour by mothers toward the infants and growth of the infants in provisioned, free-ranging Japanese macaques at Takasakiyama
抄録
<p>第34回日本霊長類学会大会で,大分市高崎山自然動物園で餌付けされているニホンザルでみられる,母親から実子への食物強奪行動とそれに伴う母子間交渉について発表し,食物強奪行動が生起する前後での母子間の互いへの接近行動の変化や強奪された食物量の推定等について報告した。強奪された食物量は,一日の固形物摂取量の55.3%に相当するとの推定結果が得られたことから,本発表では,食物強奪が子の身体成長に及ぼす影響を考察する。観察対象は,高崎山餌付けニホンザルC群(836頭)で本行動を示す成雌「プリン」と「ペンダコ」及びその2008年生の子「プリン08(オス)」と「ペンダコ08(メス)」である。なお,プリン08は右半身の毛が抜けて識別が容易であったため,プリン08,プリン,ペンダコの3個体を追跡対象とし,午前10時から午後1時まで,個体追跡法により,2008年12月からの一年間観察した。観察頻度は,プリンとペンダコについては2週間に一度,プリン08については1か月に一度であった。食物強奪がプリン08とペンダコ08の身体成長に及ぼす影響については,その2個体の体重を,C群で2001年から2016年までの間に生まれ,120日齢から600日齢までの間に2回以上の体重測定ができた個体(オス:55個体;メス:57個体)の体重と,性ごとに比較した。なお,体重測定はKurita et al. (2002, Int J Primatol, 23, 411-428)の方法により,不定期に行った。その結果,2個体とも加齢に伴う体重増加を示したものの,いずれの測定時においても,同齢のほとんどすべての他個体よりも軽い体重を示した。第34回大会で発表した内容とも合わせて考察を行うと,母による実子への食物強奪は,母子間交渉(子は自分の口の中に食物がある時は母に近づかない),子の食物摂取量(同齢の個体に比べて,約半分の量の固形物しか摂取できていない)に大きな影響を及ぼし,さらに子の発育不全を引き起こしていたことが示唆された。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 35 (0), 58-58, 2019-07-01
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390002184884617216
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- NII論文ID
- 130007813481
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可