車両保険における外形的事実の主張立証責任

書誌事項

タイトル別名
  • The Burden of Pleading and Proof of External Facts in Motor Vehicle Insurance

説明

<p>自動車保険契約の車両条項における「偶然な事故」の意義及びその主張立証責任の所在について,最高裁は平成18年から平成19年にかけて相次いで5件の判決を出している。このうち,平成19年の3件の判決はいずれも車両盗難に関するものであるところ,同各判決は,車両盗難事案についてもなお保険金請求者は(財物の占有移転が)「被保険者の意思に基づかない」ことまでの主張立証は要しないとしつつ,但し,盗難の「外形的事実」についてだけは主張立証を要し,かつ,その内容として具体的に①『被保険者の占有に係る被保険自動車が保険金請求者の主張する所在場所に置かれていたこと』及び②『被保険者以外の者がその場所から被保険自動車を持ち去ったこと』という事実を明示した。</p><p>しかし,車両盗難事案以外のいわゆる引っ掻き傷事案,車両火災事案,水没事案及び衝突事案等について保険金請求者が請求原因としてどのような事実の主張・立証を要するかについてはなお明確にはなっておらず,各地の高裁裁判例においてもその判断は分かれている。</p><p>そこで,本稿では主として盗難事案以外の事故にかかる車両保険金請求事件について,保険金請求者が請求原因として主張立証責任を負担すべき事実の内容及び範囲について検討を加えた。</p>

収録刊行物

  • 保険学雑誌

    保険学雑誌 2018 (642), 642_223-642_251, 2018-09-30

    日本保険学会

参考文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ