全国植生調査データベースを用いた植物の気候的生育適地の分析

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タイトル別名
  • Analysis of climatic habitat for plants using Vegetation Survey Database.

抄録

<p>1. はじめに</p><p>環境省では1/2.5万植生図を作成する際に、収集している植生調査のデータを整理して「全国植生調査データベース」*1を作成・公開している。</p><p>このデータベースは主に・調査地点一覧 ・階層別種リスト の2つのテーブルから構成されているが、ここに含まれる情報を用いることにより、具体的にどの地点にどの植物*2 が生育しているかを知ることができる。こういった情報とメッシュ気候値を用いることにより、特定の植物がどういった気候条件を持つ場所に分布しているかを明らかにすることができ、種同士の気候特性の違いや立地環境の差を明らかにすることができると考えられる。</p><p>そこで、本発表では全国植生調査データベースを用いていくつかの植物の気候的な特性を明らかにすることを試行する。</p><p> </p><p>2.材料</p><p>・植物の位置情報:全国植生データベース(2020年1月ダウンロード)</p><p>・気候値:国土数値情報の平年値メッシュデータ(気象庁 メッシュ平年値2010によるもの)</p><p> </p><p>3.方法</p><p>全国植生データベースのに含まれる緯度経度の情報をEsri社ArcGIS10.5.1に取得させ、全調査地点(66840地点)をGIS上に展開した。このうち、高木層および亜高木層にブナおよびオオシラビソが含まれている地点を種ごとに抽出し、抽出した地点上のメッシュ気候値について・年降水量・年平均気温・2月の最低気温・8月の最高気温・年最大積雪深を抽出した。あわせて、全国植生調査データベースから・樹冠高・胸高直径・地表の傾斜角・標高を抽出し、値をMicrosoftExcelに読み込ませ、グラフ化して比較を行った。</p><p> </p><p>4.結果</p><p>オオシラビソは約200地点、ブナは約2,400地点抽出された。これらの樹種と気候値との関連性の例として、標高と年最大積雪深の関係性を図に示した。標高に着目すると、ブナとオオシラビソは標高1,000m〜1,500mで分布が別れ、比較的同所的に生育することが少ないことがわかる。一方、積雪深に着目すると、標高とは違い両種の違いはあまりないことが明らかとなった。</p><p>今後さらに他の種でも比較を行い、具体的な気候値と分布の関係を明らかにしたい。そういったデータを積み重ねる事によって、気候値との比較から今後予想される気候変動に伴う自然植生の変化を予測することができるだろう。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390002184889156992
  • NII論文ID
    130007822084
  • DOI
    10.14866/ajg.2020s.0_209
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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