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- 野々村 文就
- 日本製紙株式会社 研究開発本部 CNF研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- The Current Status and Future Prospects of CNF R&D
- CNFの現状と今後の課題 : ほら、あなたの周りにCNF!
- CNF ノ ゲンジョウ ト コンゴ ノ カダイ : ホ ラ 、 アナタ ノ マワリ ニ CNF!
- ―CNF Would be Found in Articles Around You―
- ─ほら,あなたの周りにCNF!─
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説明
<p>再生可能な木質バイオマス由来の新素材であるCNF(セルロースナノファイバー)は,結晶性を維持した極細繊維であり,軽量,高弾性率,特殊な粘度特性等,優れたあるいはユニークな特徴を数多く有している。国内での開発は2000年頃から始まり,現在は関係省庁の支援によるオールジャパン体制が敷かれている中,推定200を超える企業が製造・用途開発を実施中である。2007年に開発を開始した当社は,現在量産機2台(石巻工場内・TEMPO酸化CNF,江津工場内・CM化CNF)によって営業生産を行い,富士工場内のCNF強化樹脂・実証機にて市場性の確認を行っている。</p><p>TEMPO酸化CNFは金属イオン高密度担持による超強力消臭シートへの利用,CM化CNFは擬塑性・低曳糸性を生かした化粧品への添加や保湿性・保形性を生かしてどらやき生地への配合等が実現している。また実証中のCNF強化樹脂は,PA6ナイロン等の汎用樹脂での実用化に向けて,自動車内外装の樹脂部品の軽量化を目的とした,環境省NCV(ナノセルロースビークル)へのサンプル提供を行っている。</p><p>CNFは地球上に豊富に存在するバイオマス素材であることに加え,特徴それぞれには関連性がなくバラエティに富んでいるため,利用される分野が限られるものではない。今後ありとあらゆる分野へ利用される可能性を秘めており,将来,「ほら,あなたの周りにCNF!」という世界が来ると確信している。しかしながら,その早期実現のためにはいくつかのハードルが存在することも事実であり,それを越えていくには,①量産技術の深化,②用途に適した改質技術の確立,③関係各社・機関との連携強化による用途開発,等がポイントである。究極のバイオマス素材であるCNFの早期実用化及び市場への浸透は,木材・セルロースを扱う我々製紙メーカーの責務と考えている。今後も引き続き関係各位のご協力とご支援をお願いしたい。</p>
収録刊行物
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- 紙パ技協誌
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紙パ技協誌 74 (2), 121-128, 2020
紙パルプ技術協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390003825178611072
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- NII論文ID
- 130007838805
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- NII書誌ID
- AN00379952
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- ISSN
- 18811000
- 0022815X
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- NDL書誌ID
- 030196377
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可