-
- 大木 雄太
- 大塚製薬株式会社 中枢神経疾患研究所
書誌事項
- タイトル別名
-
- Alcohol dependence and opioid receptor —Pharmacological profile of nalmefene—
- インシュリョウ テイゲンヤク ナルメフェン ノ ヤクリガクテキ トクチョウ : アルコール イソンショウ ト オピオイド ジュヨウタイ
この論文をさがす
説明
<p>アルコールは,身近に存在する嗜癖性を有する物質であり,多量飲酒はアルコール依存症の発症につながりうる.アルコールをはじめ依存症形成に共通して重要と考えられているのは,脳内の報酬系回路といわれる中脳腹側被蓋野から側坐核に投射するドパミン神経系の活性化であり,側坐核におけるドパミンの遊離により快の情動が生じる.アルコール依存症においては,内因性オピオイドとその受容体であるオピオイド受容体が報酬系回路の制御に重要な役割を果たす.アルコールを摂取すると,腹側被蓋野や側坐核においてβ-エンドルフィンやダイノルフィンなどの内在性オピオイドペプチドが遊離される.β-エンドルフィンはμオピオイド受容体を活性化し,報酬系回路を賦活することで,正の強化効果を生じさせる.一方で,ダイノルフィンはκオピオイド受容体を活性化し,負の強化効果を生じさせる.アルコールによるオピオイド受容体を介したこれらの作用が,アルコールの摂取欲求を高め,アルコール依存症に関与すると考えられている.ナルメフェンはオピオイド受容体調節薬であり,オピオイド受容体に作用することで,報酬系回路を制御し,アルコール依存症患者における飲酒量低減効果を示すと考えられている.アルコール依存症の治療の原則は,断酒の継続であるが,近年は,ハームリダクションの概念が提唱され,ヨーロッパでは2013年からナルメフェンが飲酒量低減薬として使用されてきた.日本においても,アルコール依存症治療における飲酒量低減を治療目標に加えることが,2018年の治療ガイドラインにより示された.本総説では,最初に,アルコール依存症における脳内報酬系回路とオピオイド受容体との関連についてまとめ,次に,ナルメフェンの薬理学的作用について,非臨床試験及び臨床試験の結果をまとめる.</p>
収録刊行物
-
- 日本薬理学雑誌
-
日本薬理学雑誌 155 (3), 145-148, 2020
公益社団法人 日本薬理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390003825178742784
-
- NII論文ID
- 130007839052
-
- NII書誌ID
- AN00198335
-
- ISSN
- 13478397
- 00155691
-
- NDL書誌ID
- 030440743
-
- PubMed
- 32378631
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- journal article
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可