腹部に生じた巨大な尖圭コンジローマ

  • 石田 倫子
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 三苫 千景
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター
  • 中原 真希子
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 内 博史
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 肥田 時征
    札幌医科大学医学部皮膚科学教室
  • 黄倉 真恵
    札幌医科大学医学部皮膚科学教室
  • 宇原 久
    札幌医科大学医学部皮膚科学教室
  • 古江 増隆
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Giant Condyloma Acuminatum on the Abdomen

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抄録

<p>症例:86 歳,女性</p><p>主訴:下腹部の腫瘤</p><p>現病歴:初診の 1 週間前に家族が悪臭を伴う,下腹部の腫瘤に気付いた。</p><p>既往歴:認知症,2 型糖尿病,高血圧症,くも膜下出血, 子宮筋腫</p><p>初診時現症:下腹部の皺に沿って,25 × 4 × 2.5 cm のカリフラワー状紅褐色腫瘤を認めた。腫瘤の周囲や臍部にも複数の腫瘤を認めた(図1 )。陰部や肛囲,鼠径部には皮疹はみられなかった。</p><p>臨床検査所見:TPHA(-),RPR(-),HIV 抗体(-),HBs 抗原(-),HCV 抗体(-)</p><p>病理組織学的所見:局所麻酔下に, 臍部に多発する腫瘤を含め切除した。切除標本では不全角化を伴う過角化がみられ, 表皮は乳頭腫状に肥厚していた(図2 a)。顆粒層は肥厚し,表皮には多数の空胞細胞がみられたが,明らかな細胞異型は認めなかった(図2 b)。真皮では毛細血管が増生し,間質の浮腫,線維化がみられ,炎症性細胞が浸潤していた。</p><p>免疫組織化学的所見(図3 ):一部の空胞細胞の核は抗ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗体(BPV-1/1H8+CAMVIR,ab2417, abcam)で染色された。</p><p>PCR 法によるHPV タイピング:切除標本から DNA を抽出し,HPV コンセンサスプライマー(CP65/70,MY09/11)による PCR を行った。ダイレクトシーケンスの結果,いずれのプライマーセットでもHPV-6 (GenBank : KX514427.1)が検出された。</p><p>診断:尖圭コンジローマ</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 82 (1), 3-4, 2020-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

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