時間割引率とその関連変数の心理的背景要因に関する実証研究―大規模シングルソースデータベース等を用いて―
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- 森 峻人
- 慶應義塾大学文学部人文社会学科人間科学専攻
説明
<p>本稿は,異時点間の報酬に対する時間割引率とその関連変数の心理的背景要因の検証を目的とする.時間割引率と心理学上の各種構成概念との関係性を検証した研究は数多くあるが,結果に一貫性がなく,サンプルサイズも限られた研究が多かった.そこで本稿では,大規模なシングルソースデータベースを用いて,サンプルサイズが十分大きく,比較的偏りのないデータで解析を行うとともに,独自実施のアンケート結果を含めた簡易的レビュー・メタ分析を実施して,より頑健な結果を導き出すための実証研究を行った.心理学上の構成概念について測定する質問紙としてはBIG5・BIS/BAS(行動抑制系/行動賦活系)・DOSPERT(領域固有性リスク受容指標)・SCS(セルフコントロール尺度)・BIS-11(バラット衝動性尺度)・EPI&SSS(アイゼンク性格検査&刺激希求性尺度)・EC(エフォートフルコントロール尺度)を利用した.結論として,時間割引率は,衝動性(特に,非計画性に関する衝動性)やリスクのある選択肢を選ぶ頻度との関係性が認められた一方,セルフコントロールやBIG5の各パーソナリティとは関係性は認められなかった.また,双曲割引・マグニチュード効果・符号効果は,BASとの関係性が比較的強いということが明らかになった.</p>
収録刊行物
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- 行動経済学
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行動経済学 13 (0), 30-30, 2020
行動経済学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390003825183916416
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- NII論文ID
- 130007848956
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- ISSN
- 21853568
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可