有害物と生体との距離を保つ共存と棲み分け

  • 渡辺 信久
    大阪工業大学 工学部 環境工学科 循環基盤工学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • “Divided Coexistence” Maintains Distance between Harmful Substances and Living Matter
  • ユウガイブツ ト セイタイ ト ノ キョリ オ タモツ キョウソン ト スミ ワケ

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説明

ダイオキシン類は生体にとっては毒であるが,一方で生体へのアクセスを抑制することが可能である。すなわち,生成抑制と吸着保持を巧みに組み合わせることで,火を使いながらも,ダイオキシン類が身近にありながらも,棲み分けることが可能である。このように,有害なものと生体との距離が保たれる「共存と棲み分け」のメカニズムは,有毒でありながら必須な元素の生体による利用 (たとえば血中のセレン),底質土壌への重金属類の閉じこめ,熱で活性化した六価クロムの有機物による安定化等,自然界の各所で観測されている。これらは,永い生命と自然の歴史から獲得された能力であると考えられる。しかし,注意しなければならないことに,自然環境がすべての有害物について「共存と棲み分け」の機能を用意しているわけではない。移動性と残留性を要件とする POPs 物質は,生体アクセスのポテンシャルが高く,「共存と棲み分け」は難しいと考えられる。

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参考文献 (1)*注記

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