著明な粥状硬化を伴った弓部大動脈瘤に対する isolation 法を用いた弓部全置換術

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  • Utility of the Isolation Technique for Total Arch Replacement in Patients with a Shaggy Aorta

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抄録

<p>[はじめに]大動脈弓部,頸部動脈中枢に高度粥状硬化を有するshaggy aorta症例での弓部全置換術においては,術中の粥状物質の飛散を防ぎ,脳梗塞を回避する工夫が必要である.当院では,shaggy aorta症例に対する弓部全置換術に対し,頸部分枝送血を独立させるisolation法を用いて術中の脳合併症を予防している.[対象と方法]2017年1月から2018年11月までに行ったshaggy aorta症例に対する弓部全置換術7例を検討した.平均年齢は71.7歳,全員男性.6例は遠位弓部・近位下行大動脈瘤,1例は腕頭動脈内の血栓による数回の脳梗塞既往が手術適応であった.頸部分枝それぞれ直接送血管を挿入して脳循環を先に確立させ,その後,上行大動脈より体循環を行った.[結果]頸部分枝を完全に独立させたisolation法は4例,腕頭動脈もしくは左鎖骨下動脈は遮断せず血流を逆行性に保ったfunctional isolationは3例であった.全例で弓部全置換術を施行し,平均手術時間は513分,脳還流時間は162分であった.手術死亡はなく,新規に脳梗塞が出現した症例はなかった.[結論]大動脈弓部,および頸部分枝起始部に著明な粥状硬化を認めるshaggy aorta症例において,isolation法を用いた弓部置換術は脳合併症を回避できる有用な方法である.</p>

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