バングラデシュのシレット地区農村部の高齢者女性を対象とする季節的症状と疾病の自己評価及びプライマリケアの利用

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タイトル別名
  • Self-reported Seasonal Symptoms and Diseases and Primary Healthcare Utilization Among Rural Elderly Women in Sylhet District, Bangladesh

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抄録

<p>バングラデシュを含む亜熱帯の国々では,季節の変動が高齢者の身体的健康および疾病の状態にマイナスの影響を与えている.これまでの研究では,特に農村部の高齢者女性をサポートするプライマリケア体制および医療活動において,季節の変動がもたらしたリスクを取り上げたものはない.季節の変動が農村部の高齢者女性の病気や症状を増加させることもあるなかで,本研究は季節の変動が健康に与えた影響を特定し,その地域の女性が医療サービスの利用に関連する決定要因を調べることを目的としている.我々は,農村部の高齢者女性65名および医療従事者11名を対象として録音の半構造的面接といった簡単な調査を行い,混合研究法を使用した.定量的データはSPSSで分析し,定性的データの主題分析はNVivoによって行った.農村部の高齢者女性の自己評価した健康歴から,以下三つの主要な季節的症状の有病率を特定した.頭痛(28 / 43.1%),消化器疾患(27 / 41.5%),および体の痛み(27 / 41.5%).吐き気,頭痛,消化器障害など三つの症状の有病率は,調査した村によって大きく異なった(p <0.05).女性のうち,60-70歳の年齢層に症例数が最も多く,次に71-80歳の年齢層が続いた.症例数は三つの季節で大きく異なった(p = 0.021).一方,女性のうち78.5%と55.4%がそれぞれ一つと二つの症状/疾患を報告したが,地域の外来受診は季節によって大きく異なった(p = 0.011).プライマリケアの利用が低く,医療制度,女性の貧しい生活環境および治療への抵抗感が医療サービスの利用を制限している.我々の研究は予防策と治療の促進において政策の改正が必要であると示唆した.解決策として,地方の診療所機能を強化し,医療スタッフと高齢者女性に対する健康教育を継続させることが挙げられる.</p>

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 42 (2), 175-185, 2020-06-01

    学校法人 産業医科大学

参考文献 (18)*注記

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