シリアンハムスターの体温調節における脳内硫化水素とその産生経路の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The role of brain hydrogen sulfide (H<sub>2</sub>S) in the thermoregulation of Syrian hamsters
  • シリアンハムスター ノ タイオン チョウセツ ニ オケル ノウナイ リュウカ スイソ ト ソノ サンセイ ケイロ ノ ヤクワリ

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説明

<p>背景・目的 硫化水素 (H2S) は脳内で産生され、神経調節物質として機能することが報告されている。さらに、外因性のH2Sガスには体温低下作用が示唆されている。そこで本研究では、体温調節における脳内H2Sの役割を明らかにすることを目的とした。</p><p>方法 実験動物には、シリアンハムスター (Mesocricetus auratus) を用いた。環境温度に3時間順化させた後、体温測定実験を行なった。体温は、温度データロガーを用い、非拘束下で連続的に測定した。各種薬物は、カニューレを用いて側脳室内に5 μLの容量で投与した。</p><p>結果 シスタチオニンβ-シンターゼ (CBS) の活性化剤である S-(5’-adenosyl)-L-methionineは、一過性の体温低下を誘導した。一方、3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素の活性化剤であるジヒドロリポ酸は、体温に影響しなかった。そこで、CBSによって産生されるH2Sの体温調節への関与を検討した。冬眠様低体温の誘導には、CBS由来のH2Sの関与は認められなかった。一方、アセトアミノフェン (APAP) による体温低下はCBSの阻害剤により有意に抑制された。</p><p>考察 脳内CBSによって産生されたH2Sが、APAPによる体温低下作用を制御していることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 日本健康開発雑誌

    日本健康開発雑誌 41 (0), 44-51, 2020-06-19

    一般財団法人 日本健康開発財団

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