書誌事項
- タイトル別名
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- Classification of the components of Japanese health literacy scales in terms of motivation, knowledge, and ability
- ニホン ノ ヘルスリテラシー シャクド ニ オケル イヨク 、 チシキ 、 ノウリョク ノ ヨウソ ブンセキ
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説明
【緒言】高度情報化に伴い、インターネットなどを通じて多くの健康情報が氾濫するようになった。その中には、信 頼性の低い情報が混在しており、また、それによる健康被害も多く報告されている。そのため、現代社会においては、健康情報を 入手し、理解し、活用する力であるヘルスリテラシーが必要である。そこで、本研究では文献レビューから得た日本のヘルスリテラ シー尺度の質問項目について、WHO(1998)の定義で示される意欲、知識、能力の分類に基づいてヘルスリテラシー尺度を分析 し、構造を明らかにすることを目的とした。【方法】文献検索にはCiNii、メディカルオンライン、google scholar、国立国会図書館 のデータベースを用いた。検索キーワードは「ヘルスリテラシー」や「尺度」に関する用語を投入した。抽出された文献を適格基準 と照合させ、文献を特定した。さらに、質問項目の詳細を明らかにするため、抽出された日本のヘルスリテラシー尺度の全質問項目 について、WHO(1998)の定義を参考に、「意欲(意図)」、「知識・理解」、「能力」の3つに分類し、内容を検討した。さらに、 質問項目の詳細を明らかにするため、構成要素それぞれについて詳細分類を設定した。【結果】本研究で抽出されたヘルスリテラシー 尺度は12尺度のうち、重複を除く10尺度133項目を検討対象とした。3つの構成要素に分類した結果、全質問項目に対する割合 は「意欲(意図)」が21項目(15.8%)、「知識・理解」が57項目(42.9%)、「能力」が54項目(40.6%)であった。各構成 要素における詳細分類の内容、および項目数(構成要素内の割合)を以下に示す。「意欲(意図)」は〈情報収集意欲〉が10項 目(47.6%)、〈行動意欲〉が6項目(28.6%)、〈興味・関心〉が4項目(19.0%)、〈コミュニケーション〉が1項目(4.8%)で あった。「知識・理解」は〈情報の理解〉が35項目(61.4%)、〈言語・計算〉が17項目(29.8%)、〈情報検索の知識〉が4項 目(7.0%)、〈情報活用の知識〉が1項目(1.8%)であった。「能力」は〈評価・判断力〉が26項目(48.1%)、〈情報収集力〉 が16項目(29.6%)、〈コミュニケーションスキル〉が7項目(13.0%)、〈意思決定・行動力〉が5項目(9.3%)であった。なお、 「意欲(意図)」、「知識・理解」、「能力」のいずれにも該当しない項目(その他)が1項目であった。本研究において、我が国で開 発されているヘルスリテラシー尺度は「意欲(意図)」を評価できる尺度が最も少ないことが明らかになった。また、「意欲(意図)」 は〈興味・関心〉と〈コミュニケーション〉、「知識・理解」は〈情報検索の知識〉と〈情報活用の知識〉、「能力」は〈コミュニ ケーションスキル〉と〈意思決定・行動力〉の質問項目の割合が相対的に少ないことが明らかになった。【考察】多様化・複雑化 する健康問題の解決に向けて、氾濫する情報に対する批判的思考と情報の判断、コミュニケーションの意欲やスキルを含む尺度の 開発、およびそれらを活用したヘルスサービスへの応用が望まれる。
収録刊行物
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- 行動医学研究
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行動医学研究 25 (0), 44-54, 2020
日本行動医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390003825192357376
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- NII論文ID
- 130007852648
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- NII書誌ID
- AA11647042
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- ISSN
- 21880085
- 13416790
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- NDL書誌ID
- 030484919
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可