真空包装機を用いた凍結減圧酵素含浸法による形状保持軟化食材の作製

  • 中津 沙弥香
    広島県立総合技術研究所食品工業技術センター
  • 柴田 賢哉
    広島県立総合技術研究所食品工業技術センター
  • 石原 理子
    広島県立総合技術研究所食品工業技術センター
  • 坂本 宏司
    広島県立総合技術研究所食品工業技術センター

書誌事項

タイトル別名
  • Vacuum Infusion of Enzymes into Freeze-Thaw Food Materials Using a Vacuum Packaging Machine

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説明

<p>【目的】凍結減圧酵素含浸法(凍結含浸法)を適用して植物組織崩壊酵素を食材内部に導入すると,食材の形状を保持したまま任意の硬さに制御できる.本報告では,従来法の真空ポンプを用いる減圧酵素含浸処理を改変し,真空包装機を用いて包装フィルム内で処理する方法を検討した.</p><p>【方法】凍結食材を酵素溶液中で解凍して食材表面に酵素を付着・浸透させた後,包装フィルムに入れ,真空包装機で減圧酵素含浸処理を行った.酵素含浸効率に影響を及ぼすと考えられる因子を,解凍および減圧酵素含浸処理に用いる酵素溶液の使用方法,減圧酵素含浸処理時の圧力,酵素濃度および減圧保持時間として,これら因子の食材の硬さ制御に及ぼす影響を検討した.50℃,1 時間で酵素反応後,100℃,10 分間加熱失活させて硬さの測定に供した.</p><p>【結果】タケノコおよびレンコンは,酵素溶液中で解凍後に酵素溶液を排除して減圧酵素含浸処理したほうが,緩衝液中で解凍後に酵素溶液中で減圧酵素含浸処理したものに比べて有意に軟化した.ゴボウでは,この2 つの処理方法において,硬さに有意差は認められなかった.含浸処理時の真空包装機内の圧力が15.30~5.10 kPa の範囲において,タケノコおよびレンコンでは,圧力が低いほど軟化したが,ゴボウでは影響を受けなかった.解凍時に用いる酵素濃度を従来法の1.25~1.67 倍にして,3~5 分間の減圧保持時間を設けることで,目標とする従来法と同等の硬さに軟化した.</p><p>【結語】真空包装機を用いた凍結含浸法によって,食材の形状を保持したまま厚生労働省の旧高齢者用食品レベルにまで軟化できることが明らかとなった.本結果を応用することで,介護施設や病院等の厨房において,凍結含浸食材を製造することが可能となったと思われる.形状のある軟化食材は,摂食障害をもつ多くの高齢者や患者のQOL(quality of life)向上に貢献できると思われる.</p>

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被引用文献 (4)*注記

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