治療評価の標準化

DOI

Search this article

Abstract

<p> 現在の尿路結石の外科的治療法は, 結石を何らかの手段で破砕してその破砕片を用手的に体外に摘出するか, 破砕片を尿の流れに任せて自然に排出させる方法が主体である. 結石を破砕する手術には, 体外から結石を砕くESWL, 経尿道的に逆行性に体内で砕くr-TUL (硬性尿管鏡を用いたTUL), f-TUL (軟性腎盂尿管鏡を用いたTUL), 経皮的に造設した腎瘻から順行性に体内で砕くPNL, さらにはf-TULとPNLを同時に行うECIRS (Endoscopic Combined intra-renal Surgery) があり実に多種多様である. 実臨床においては体腔鏡を用いた切石術も実施されている. これらの治療法を正確に比較評価するためには, 治療対象となる尿路結石の正確な術前評価が成されなければならない. 治療結果評価についてもendpointをどこに置くかによって, その治療法の評価が変わってくる. これらの評価について, 本邦では1989年に日本泌尿器科学会雑誌に掲載された故園田教授等による『Endourology・ESWLによる結石治療の評価基準』1)が公表されており, 結石の存在する位置を示すR1, R2, R3, U1, U2, U3等の表現は馴染み深く現在でも浸透している. 一方で, この基準では結石の術前の評価方法としての結石の大きさを長径で示す事が示されている. しかしながら, 長径だけで結石の大きさを表現すると結石の厚みという要素が無視されてしまい結石の正当な評価はなされない. また, 尿路結石の外科的治療はstone freeがendpointとなる前提であるが, 結石を破砕する術式においては砕いた結石のかけらが尿路に取り残される残石と言う副産物が常に問題となる. Stone free以外は一切失敗として扱うのか? それとも成功例として扱う破砕片の残石をある程度まで許容するのか? 許容するならばどの程度まで? など, これらclear cutに出来ないジレンマを多くの泌尿器科医は抱えている. 本稿では1) 術前の結石の大きさを体積で評価する, 2) 結果の判定に残石率を追加する, 3) 結果の判定において尿路閉塞の解除の有無を追加する等の新たな提言を試みた.</p>

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top