樹幹流が森林土壌への雨水および溶存態<sup>137</sup>Csの浸透フラックスに及ぼす影響

DOI
  • 飯田 光
    筑波大学生命環境学群 筑波大学アイソトープ環境動態研究センター
  • 加藤 弘亮
    筑波大学アイソトープ環境動態研究センター 筑波大学生命環境系
  • 篠塚 友輝
    筑波大学アイソトープ環境動態研究センター 筑波大学生命環境系
  • 赤岩 哲
    筑波大学アイソトープ環境動態研究センター 筑波大学生命環境系
  • 横山 達也
    筑波大学生命環境学群 筑波大学アイソトープ環境動態研究センター
  • 恩田 裕一
    筑波大学アイソトープ環境動態研究センター 筑波大学生命環境系

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of stemflow on infiltration flux of rainwater and dissolved <sup>137</sup>Cs to forest soil

説明

<p>樹幹流は森林土壌への集中的な雨水の流入経路となるほか、樹木根系に沿う選択的な浸透流を発生させ、根圏の水物質循環に影響を及ぼすとされている。しかし、樹幹流が雨水浸透に及ぼす影響について土壌浸透水を採水して分析した例は少ない。そこで本研究では、福島県浪江町のスギ林を対象とし、ゼロテンションライシメータを用いて樹幹流量と樹木根付近(Rd)および樹幹から離れた樹木間(Bt)の土壌浸透水量を観測し、それらに含まれる福島原発事故由来の溶存態137Cs濃度を測定した。その結果、樹幹に近いRdの方が水量、溶存態137Cs濃度ともに大きく、採水期間の単位林外雨量あたりの浸透水量は5 cm深度で1.4倍、20 cm深度で3.0倍も多く、溶存態137Cs濃度は5 cmで1.3倍、深度20 cm深度で1.7倍と高い値を示した。このことから、樹幹基部では樹幹流により浸透水量が増加し、また溶存態137Cs濃度が高くなることが示唆された。土壌浸透水および溶存態137Cs濃度に対する樹幹流の寄与を定量的に把握するために、水の安定同位体比など複数のトレーサーを併用した解析を行うほか、根を伝う選択浸透流(根系流)そのものを採水し、樹木根付近での詳細な浸透機構を解明する必要がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390003825201756288
  • NII論文ID
    130007880850
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_518
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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