O-1-B17 摂食機能および活動能力・意欲が高まった進行性疾患症例の検討

DOI
  • 大塚 栄子
    千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション療法部 小児療法室
  • 北村 千里
    千葉リハビリテーションセンター リハビリテーション療法部 小児療法室
  • 水流 正人
    千葉リハビリテーションセンター 看護局
  • 内田 智子
    千葉リハビリテーションセンター 診療部

書誌事項

タイトル別名
  • −可能性を高める多職種連携への影響を踏まえて−

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抄録

目的 作業療法開始以降摂食機能および活動意欲が高まった進行性疾患症例の経過について、多職種連携への影響を踏まえ考察する。 経過 10年前に入園したマリネスコ・シェーグレン症候群の30歳代女性。呼吸器管理され日中はベッド臥床、手指のつまみ可能だが両上肢拳上は難しく日常生活は全介助であった。意思疎通は頷きや表情で可能である。喉頭分離術施行済だが摂食意欲が持てず完全経管栄養管理で2年間は脱毛・脱色あり微量元素補充を要していた。20××年より作業療法にて摂食訓練(間接・直接)を開始。20××年+1年で、ベッド上から車椅子上の摂食が可能になり、舌押しつぶしや口唇閉鎖、その後側方運動が可能となりペースト食→ムース食となり、20××年+1年半できざみ食(主食軟飯)で口すぼめも可能となり家族外出時も麺類を楽しんだ。年1回のカンファレンス時に摂食回数増を提案し、Nsによるおやつ摂食やデイルームでの摂食訓練実施時に福祉職の一口介助体験の設定を行い機会増に向けている。20××年+2年半、手指のつまみ機能を活かし側臥位でビーズ細工を実施できるようスポンジクッションを作製、セッティング自立で可能となった。製作した作品を他患や見学者にプレゼントし交流を楽しむなど意欲的に取り組み、食事や製作時の車椅子乗車に積極的である。また、理学療法時に後方介助にて端座位を取りながらNsとおやつ摂食を試みるなど、日常生活の中で多職種連携した取組みも増えた。 考察 日常的に出来た内容を口頭報告し場面共有も図るようにし、スタッフからの声掛けが増え症例の意欲・能力も向上した。相互作用的に「症例のできる可能性を高める」認識が生まれ生活に落とし込んだリハビリテーションやケアに影響を及ぼした。 進行性疾患だが廃用による影響が考えられ積極的なアプローチの有用性が示唆された。 マンパワーが安定せず日常的な摂食機会については今後の課題である。

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