O-1-C12 当園における便潜血検査と腫瘍マーカー検査について

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抄録

はじめに 重症心身障害児者(重症児者)の悪性腫瘍は40歳代の発症が多く、大腸がん、精巣腫瘍、乳がんが多いことが知られている。重症児者の悪性腫瘍の検診や早期診断方法は確立されていない。当園では便潜血検査、腫瘍マーカー検査を行っているが、その現状について報告する。 対象と方法 対象は2012年から2015年に入所していた40歳以上の男50例、女48例である。平均年齢は男55歳女57歳。検査方法は便中ヘモグロビン(Hb)、血中CEA(cartinoembryonic antigen)、CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)、男性はPSA(prostate-specific antigen)を測定した。2015年からは40歳以上は年に1回、50歳以上は年2回行った。検査はコマーシャルラボラトリーに依頼し、便中Hbは100ng/mL、CEAは5.1ng/mL、CA19-9は38U/mL、PSA4.01ng/mL以上を陽性とした。 結果 便中Hbは男288回、女321回測定した。総検体数中男6.9% 女10.0%の検体が陽性、1回以上陽性を示した例は男24%女23%であった。複数回陽性であった4例に大腸内視鏡検査を行い、1例は線腫、2例は早期大腸がんであった。1例は大腸がんの既往があり、CTにより大腸がんが発見され、死亡した。CEAは男166回、女200回、CA19-9は男183回、女212回測定した。総検体数中CEAは男3.0%女3.0%、CA19-9は男7.1%女10.4%の検体が陽性、1回以上陽性を示した例はCEA男4.3%、女8.0%、CA19-9は男8.5%、女18.0%であった。CEA、CA19-9ともに異常高値であった1例は肝内胆管がんのため死亡した。PSAは94回測定し陽性検体は認めていない。死亡した例以外は再検査やエコー検査を行ったが悪性腫瘍は発見されていない。 まとめ 便中Hb測定は大腸がんの検診として意義があることが示唆されたが、血中の腫瘍マーカー検査により自覚症状や他覚所見のない時期に診断可能であったが早期診断はできなかった。

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