PEA 術前にBPA を施行した9 例

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抄録

<p>●目的</p><p> 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対する治療は,肺動脈内膜摘除術(PEA)が根治的であるが,近年になり薬物治療や経皮的肺動脈形成術(BPA)の有効性が報告され注目されている.当院ではPEA術後の遺残肺高血圧(PH)症例に追加BPAを施行するハイブリッド治療で良好な成績が得られているが,術前にBPAを施行した症例も経験しておりその治療成績について検討した.</p><p>●対象</p><p> 2012年2月から2018年8月までPEAを74例に施行した.平均年齢61(31-84)歳,男性25:女性49で,平均罹患期間は48カ月(3カ月-20年)であった.WHO分類はⅡ30例,Ⅲ40例,Ⅳ4例.術前BPAは9例に施行していた.3例は他院でBPAを施行し,改善しないため当院に紹介となりPEAを行った.またこれらの経験から,術前に平均肺動脈圧が高度な6症例については当院でBPAを行い圧の軽減を図ってからPEAを施行した.</p><p>●結果</p><p> 術前にBPAを施行しなかった65例では,平均肺動脈圧:術前40±9→術後21±8 mmHg,肺血管抵抗:738±405→279±180 dynes・sec・cm-5とPHの改善が得られたが,1例でECMOから離脱できず残存PHおよび肺出血により死亡し,3例において残存PHによりECMO±IABPを必要とし,3例でIABPを使用した.術前にBPAを施行した9例では平均肺動脈圧は,BPA前45±9→BPA後42±6 mmHg,肺血管抵抗:1142±512→727±267 dynes・sec・cm-5と低下し,PEA術後に補助循環を要した症例は認めなかった.</p><p>●結論</p><p> 重症CTEPH症例に対して,PEA術前にBPAを施行し良好な成績を得た.またBPAを先行してもPEA困難となるような症例は認めなかった.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 51 (7), 757-757, 2019-07-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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