線虫<i>Caenorhabditis elegans </i>の低温馴化における温度感覚は酸素濃度の影響を受ける

DOI Web Site Web Site 参考文献19件 オープンアクセス
  • 岡畑 美咲
    日本学術振興会特別研究員PD/甲南大学 統合ニューロバイオロジー研究所
  • 太田 茜
    日本学術振興会特別研究員RPD/甲南大学 統合ニューロバイオロジー研究所
  • 久原 篤
    甲南大学 理工学部生物学科/統合ニューロバイオロジー研究所 教授

書誌事項

タイトル別名
  • Temperature sensation in cold acclimation of nematode <i>Caenorhabditis elegans</i> is affected by environmental oxygen concentration
  • 線虫Caenorhabditis elegansの低温馴化における温度感覚は酸素濃度の影響を受ける
  • センチュウ Caenorhabditis elegans ノ テイオン ジュンカ ニ オケル オンド カンカク ワ サンソ ノウド ノ エイキョウ オ ウケル

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抄録

<p>脳・神経系においてどのように複数の感覚情報が統合や区別されているかについては,未知の点が多く残されている。本稿では,線虫C. elegans の低温馴化の解析から見つかってきた,神経回路における酸素と温度という2つの感覚情報の統合に関する最新の知見を紹介する。線虫は302 個の神経細胞からなる神経回路を構成しており,複数の感覚情報を統合・区別することによって,適切に環境の変化に適応している。最近,線虫の低温馴化現象に関わる新規の遺伝子としてKQT 型カリウムチャネルを見つけた。興味深いことに,このKQT 型カリウムチャネルの変異体が示す「低温馴化」の異常は,「環境の酸素濃度」が高くなるほど強くなることを偶然見つけた。神経回路レベルでは,酸素受容ニューロンと温度受容ニューロンが局所回路を形成し,この回路が低温馴化に関わっていた。カルシウムイメージング法を用いた解析から,温度受容ニューロンの温度に対する感度は,酸素受容ニューロンからの神経情報により調節されていることが分かった。この現象にKQT 型カリウムチャネルが関わっていた。つまり,酸素と温度という全く異なる2つの神経情報の統合に関わる分子と神経回路の生理的動態が見つかってきた。</p>

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