Tooth Wearによる機能的・審美的障害に対して直接法コンポジットレジン修復を行った1症例

DOI
  • 田代 浩史
    田代歯科医院
  • 保坂 啓一
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 田上 順次
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Functional and Esthetic Rehabilitation of Severely Eroded Dentition Using Direct Resin Composite Restorations: A Case Report

説明

<p> 目的 : 近年, 歯科診療における直接法コンポジットレジン修復は, 適用範囲が顕著に拡大しており, さまざまな原因で起こる歯の硬組織の部分的な欠損に対して, 窩洞形成による保持形態付与を必要とせず, 健全歯質を最大限に保存できる修復法である. このように, 現状の歯冠形態に接着操作や充塡操作を経て, 歯質に材料を接着させることで修復が成立するという特徴は, コンポジットレジン直接修復でのみ対応可能な治療計画を提案し, 従来の歯科治療の概念に新たな選択肢を与えている. 酸蝕などの 「Tooth Wear」 により歯冠形態や咬合が崩壊した症例においても, その程度に応じた接着修復の適用により治療の難易度を低下させることも可能となる. 長期間の生活習慣 (酸性飲料の習慣的摂取・ブラキシズム) の影響により, 臼歯部咬合面の形態変化と咬合高径の低下による機能障害, 前歯部の変色と歯冠長減少による審美障害とを併発した口腔内状況に対し, 健全歯質への切削を最小限にした直接法コンポジットレジン修復により対応し, これまでのところ良好な結果を得ているので報告する.</p><p> 症例 : 48歳男性. 全顎的Tooth Wearによる臼歯部咬合高径の低下がみられ, これによる前歯部の歯冠長減少とエナメル質の不均一な変色による審美障害が認められた. 全顎的な歯周炎はなく, すべての歯に病的な動揺は認められない. 2016年8月より, 上下顎の臼歯部咬合面にそれぞれ1.0mmの厚さで順次フロアブルレジン充塡を行い, 臼歯部で計2.0mmの咬合挙上を行った. 臼歯部咬合面の修復完了後, 2017年3月より, 前歯部へのコンポジットレジンによるダイレクトベニア修復を行った. 形態修正と研磨を行い, メインテナンスと経過観察に移行し, 3カ月に1回程度の間隔で予後の確認を継続している.</p><p> 結果 : 修復完了より1年11カ月経過時点で, 下顎左側第二大臼歯でのコンポジットレジンの部分破折が一度認められたが, 業者指示の接着ステップに従い補修修復にて対応した. 修復完了後3年1カ月経過後の時点において, 良好な予後が確認されている.</p><p> 結論 : 重度Tooth Wearにより臼歯部咬合高径が低下した機能・審美障害に対し, コンポジットレジン修復を活用した臼歯部の咬合再構成とダイレクトベニア修復で対応し, 3年経過後時点で良好な予後を得ることができた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390003825209523968
  • NII論文ID
    130007893564
  • DOI
    10.11471/shikahozon.63.327
  • ISSN
    21880808
    03872343
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ