プラスチックマーケットに参入する, 紙パウダーを活用した低炭素型ビジネス

  • 松下 敬通
    株式会社環境経営総合研究所 環境プランナーERO 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 講師

書誌事項

タイトル別名
  • Low Carbon Type Business Using Paper Powder to Enter Plastic Market
  • プラスチックマーケット ニ サンニュウ スル,カミ パウダー オ カツヨウ シタ テイタンソガタ ビジネス

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抄録

<p>環境省の2019年度「プラスチック資源循環戦略」には,世界的なプラごみ問題への我が国としての対策として,紙やバイオプラに代替していくことが明確に謳われ,特に食品トレー等の「使い捨てプラスチック容器」に焦点を当て,最も積極的に変わらなければならないとされている。その大きな理由は,我が国の年間廃プラスチック排出量が900万tあり,この内の約半分が使い捨てプラスチック容器と言われているからである。</p><p>紙パウダーと合成樹脂の複合素材MAPKAは世界的にも類がない我が国独自の技術として環境省からも認知され,プラスチック原料から代替することで使用量が50%以下に削減され,機能性がプラスチック容器とほぼ同等であることから,大量にプラスチック容器を使用する我が国の大企業から多くのオファーをいただいている。また,当社が進出しているアメリカ,韓国でも大企業を中心に自動車,家電等の大型案件での採用も始まった。</p><p>MAPKAは製紙業界との連携無しには成立しない技術・製品であり,普及・拡大に伴い,フロントランナーとして現在提携している中越パルプ工業株式会社様に次ぐ取り組みが開始する可能性を感じている。</p><p>現在は,日本企業はもとより,世界中に展開する海外の大企業からのオファーが増え,それぞれがプラスチック原料の削減について真剣に検討している姿を目の当たりにし,もはや言葉で言うだけではなく,実行ベースで取り組むべきテーマになったことを実感している。</p><p>MAPKAは我が国で誕生したメイドインジャパンの技術・製品であり,現在のところは当社グループでしか生産ができないオンリーワンの事業である。今後,国内の有力企業と提携し,生産能力を更に高めていく計画であり,我が国の「脱プラ政策」のフロントランナーとして更なる前進を実現したいと考えている。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 74 (6), 608-615, 2020

    紙パルプ技術協会

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