Reverse toxicologyによる新規アジュバント・スクリーニング系の開発

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タイトル別名
  • Reverse toxicology for identifying novel, safe, and effective vaccine adjuvants

抄録

<p> 新興・再興感染症の発生に際し,新規ワクチンの開発は感染症予防の観点から非常に重要である。しかし,抗原自体の免疫原性が極めて低い場合,免疫賦活化あるいは適切な抗原のデリバリーのためにアジュバントを添加することが求められる。世界的にアルミニウムアジュバントが安全性の確認されたアジュバントとして承認され,多くの感染症予防ワクチンで使用されているが,これに代わるより安全で有効性の高い新規アジュバントの開発が求められてきた。</p><p> 我々は,種々のアジュバント添加インフルエンザワクチン投与時のグローバルな遺伝子発現解析等により,ワクチン安全性を評価するバイオマーカー(BMs)を同定し,全粒子インフルエンザワクチンを指標として免疫活性および毒性を相対的に数値化することで,アジュバント活性の評価に成功してきた。またこれらのBMsをin vivoのみならず,in vitroでも評価できる系を構築してきた (水上他 2019年度 本学会)。そこで私たちは,同定したBMsを逆利用Reverse Toxicologyし,アジュバントをスクリーニングするBMsとして用いることで,新規アジュバント候補の探索に応用できるのではないかと考えた。</p><p> 対象化合物としては,すぐに医薬品として展開できるように,既承認薬や添加剤を用いた。これらの候補化合物をインフルエンザHAワクチン(HAv)と混合し,HAv単体より活性が高いものをアジュバント賦活能のある化合物とした。また,毒性参照用としてすでに安全性評価に用いられているインフルエンザ全粒子ワクチンとの相対活性を比較することで,安全性の高いアジュバントのスクリーニングが可能となるよう設計した。候補化合物に関しては,BMsに基づき網羅的遺伝子発現データベースから逆に絞り込んだ。まず,in vitroでの評価を行い,BMs発現の認められたものに関し,動物を用いてin vivoの評価を行い,BMsの誘導が認められたものに関しては,免疫実験を行い,抗体産生能を検討した。</p><p> その結果,本BMsを用いることで,新規アジュバント候補を同定することに成功した。よってReverse Toxicologyにより新規アジュバントをスクリーニングすることが可能であることが実証された。今後は,ハイスループット系の開発を行ない,より規模を拡大して,より効率的に有効性・安全性の高いアジュバント探索が可能か試みる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222614678528
  • NII論文ID
    130007898151
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_o-15
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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