神経行動毒性のメタ解析(その6):我国における農薬(殺虫剤)の神経毒性評価の現状
書誌事項
- タイトル別名
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- Meta-analysis in neurobehavioral toxicology (No 6): Current status of neurotoxicity evaluation of pesticides (insecticides) in Japan
抄録
<p> 農薬(殺虫剤)の脳神経系に対する影響は、急性毒性試験、急性神経毒性試験、90日反復毒性試験、90日反復神経毒性試験、生殖毒性試験、発生毒性試験、発達神経毒性試験において、必要に応じた検査を追加して段階的に評価される。昨年、殺虫剤の単回並びに90日反復投与における神経毒性の状況を予備的に調査し(LOAELについてのみ調査)、一般毒性試験で検出されない脳神経系への影響が神経毒性試験で検出される例は多くないことを報告した。本年は、2020年1月時点のFAMICホームページに新たに公開された情報に加え、90日反復毒性試験では毒性発現用量を、生殖・発生毒性試験、発達神経毒性試験を対象として、農薬(殺虫剤)のラット神経毒性の評価状況を調べた。</p><p> 急性毒性試験は全ての剤で実施され(60試験)、約70%で脳神経系指標の変化を含む何らかの神経症状がみられた。急性神経毒性試験は急性毒性試験で神経症状がみられた剤のうちの約70%で、神経症状がみられなかった剤のうちの約40%で実施されていたが、急性神経毒性試験で新たな特筆すべき神経系の変化が検出された例はなかった。90日反復毒性試験(59試験)の約70%で90日反復神経毒性試験が実施されており、これらの試験においても脳神経系指標の変化(振戦、歩行異常など)がみられたが、この原因と考えられる神経病理学的所見が確認された例はなく、脳神経系指標の変化がLOAELの設定根拠となる例は少なかった。生殖毒性試験(58試験)並びに発生毒性試験(59試験)でも、振戦などの脳神経系指標の変化が認められた例があったものの、その数は少なかった。我国では2019年に新規に追加された発達神経毒性試験も11試験実施例があり、脳神経系指標に変化が検出されていた。これらに基づいて、神経毒性について総合的に考察する予定である。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 47.1 (0), P-191-, 2020
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390004222614793856
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- NII論文ID
- 130007898272
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可