幼若動物を用いた毒性試験における学習と記憶検査に関する課題

DOI
  • 峯島 浩
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 大塚製薬株式会社 前臨床研究センター 安全性研究部
  • 片桐 龍一
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 中外製薬株式会社 トランスレーショナルリサーチ本部
  • 児玉 晃孝
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 EAファーマ株式会社 創薬研究所 安全性・薬物動態統括部
  • 兒玉 利尚
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 グラクソ・スミスクライン株式会社 開発本部 開発基盤・サイエンス部門 前臨床開発部
  • 小寺 喬
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 日本新薬株式会社 創薬研究所 安全性・動態研究部
  • 鈴木 睦
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 協和キリン株式会社 トランスレーショナルリサーチユニット
  • 杉本 和子
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 日本イーライリリー株式会社 研究開発本部 薬事部前臨床
  • 松本 清
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 武田薬品工業株式会社 リサーチ 薬剤安全性研究所
  • 山本 敏誠
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 田辺三菱製薬株式会社 創薬本部 安全性研究所
  • 山本 雅克
    日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会 TF-2 MSD株式会社 薬事領域 非臨床開発部

書誌事項

タイトル別名
  • Potential issues of learning and memory (LM) test methods in juvenile rat toxicity studies (JAS) for pediatric drug development

抄録

<p>ヒトの小児期は脳の発達が途上であり,この時期に摂取された化学物質が脳に影響し,遅発性障害を引き起こす懸念がある。特に新生児期は,未熟な代謝系や血液脳関門などの要素も加わりその懸念は増大する。近年,小児用医薬品の開発が増加しているが,特に中枢神経系に作用する医薬品においては,発達中の脳への影響を評価することは重要である。しかしながら,これらの影響をヒトで検証することが困難であることから,幼若動物試験(幼若試験)で予測する必要がある。今回我々は,脳の発達への影響の中でも学習・記憶障害に焦点をあて,過去の新薬承認申請資料や文献検索により,動物実験での評価方法や問題点の抽出を試みたので,それらの結果を紹介する。</p><p>[結果と考察] 幼若試験と生後発育試験で実施されている学習・記憶検査方法を調査したところ,生殖発生毒性試験と同様に種々の方法が使用されており,検査の対象となる学習・記憶の種類や課題の難度も多様であった。また,学習・記憶検査に関して,承認申請のための幼若試験で選択される検査方法は基礎研究で使用されている検査方法と乖離があり,学習・記憶のメカニズムなど急速に進歩している基礎研究の成果を幼若試験に橋渡しする検討も乏しいと思われた。市販されている医薬品を用いた学習・記憶検査方法に関する調査では,同じ医薬品であっても障害の検出性が一致しておらず,障害の特性,研究デザイン,検査要素,動物の数などの検出力に影響する要因はあるものの,検出力が低い検査方法または検査要素があると考えられた。今回の調査結果が,小児用医薬品開発における学習・記憶評価方法を向上させるための基礎的検討推進の発端となれば幸いである。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222614973184
  • NII論文ID
    130007898422
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-232
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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