Molluscan Biodiversity in Replanted and Natural Mangrove Forests: A Study on the Island of Viti Levu in Fiji

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抄録

沿岸域には様々な生態系が存在し,生物多様性や人々の生活に重要な位置を占めている。マングローブは沿岸域に見られる植物で,満潮時には水中に存在し,複雑な支柱根は水中生物に生息空間を提供し,マングローブ葉由来のデトリタスは海洋生物に多くの餌を供給する。人々はこの生態系に生息する海産物を利用したり,マングローブ自身を薪や建材などに利用してきた。しかし,近年になりマングローブ林は伐採がすすみ,生物多様性や地域の人々による持続的資源利用に大きな影響を与えている。これに対して,マングローブの植林が進みつつあるが,これに伴う生物多様性がどのように回復しているかという研究はまだ十分でない。そこで,マングローブ林に生息する貝類に注目し,異なる年数の植林後マングローブ林と自然林に生息する貝類の数と種類,そして,その環境を比較することにより,植林後の生物多様性の回復について検討した。 調査はフィジー諸島共和国のビチレブ島の4つの地域(植林後1-3年目,7年目と2つの自然林)において,マングローブの枝・葉上と海底上に生息する貝類の数と種数を記録し,その地域のマングローブ林の高さ,海水のpHそして塩分について測定した。その結果,植林後1-3年目のマングローブ域には2種類の貝類が,植林後7年目のマングローブ林には3種の貝類が観察された。一方,自然林は8-10種の貝類が観察された。植林後のマングローブ林の高さは0.5-3mであったが,自然林では最高で20m近くの高さを示した。また,pHと塩分濃度においても植林後の地域と自然林では違いがみられた。しかし,4つ(植林後1-3年目,7年目の地域と2つの自然林)において環境,生物多様性を比較すると,若干であるが植林後の年数に伴い自然林に近くなっていることが示された。本論文では,マングローブ植林に伴う生物多様性の回復過程について議論を行った。

収録刊行物

  • 島嶼研究

    島嶼研究 2011 (11), 25-34, 2011-03-20

    日本島嶼学会

参考文献 (2)*注記

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