「ひきこもり」支援施設の活動とその両義性――フレーム概念を通じて――

  • 桑原 啓
    京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Activities in <i>Hikikomori</i> Support Centers and Dual Meanings: Utilizing the Concept of Framework
  • 「 ヒキコモリ 」 シエン シセツ ノ カツドウ ト ソノ リョウギセイ : フレーム ガイネン オ ツウジテ

この論文をさがす

抄録

<p>日本には,「ひきこもり」とされる人が,約120万人いると言われている.「ひきこもり」支援実践の種々のアプローチは,居場所活動や就労支援といったかたちで,一定の線引きのもとに行われてきた.本稿の目的は,そうした活動に参加している「ひきこもり」経験者や支援者の認識を検討し,支援施設の活動の複合的な性格を確認することである.分析には,状況の定義について扱ったGoffmanのフレーム概念を用いた.インタビュー調査を実施した施設では,一見して就労支援に思えるカフェの運営が,居場所活動であると位置づけられていた.よって,このカフェ活動は,居場所活動と就労の両義性を有していると言える.また,「ひきこもり」支援に関する制度的な整備が施策ごとに分割されていたため,両義性を有するカフェ活動は困難に陥っていた.以上より,「ひきこもり」支援のあり方をめぐっては,従来の区分にとらわれない柔軟な議論が必要である.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 61 (2), 45-58, 2020-08-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ