ヨーロッパ北西部における低気圧活動の季節変化に関する総観気候学的研究
書誌事項
- タイトル別名
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- Synoptic climatological analyses on the seasonal variation of cyclone activity around the northwestern Europe
- A case study for 2000
- -2000年における事例解析-
抄録
東アジアの春や秋に比べて季節平均場としての南北の温度差が小さいヨーロッパ付近でも比較的強い低気圧がしばしば出現することに注目して、ヨーロッパ付近における日々の高低気圧の特徴の季節変化に関する事例解析を行った。本研究では、桑名ほか(2016)が1月~5月頃について事例解析を行った2000年を対象に、その結果と暖候期や秋から冬にかけての特徴との比較の視点も交えて高低気圧活動の季節変化を解析した。解析には、主にNCEP/NCAR再解析データ(2.5°×2.5°緯度経度格子)を利用した。主な結果は以下の通りである。 ヨーロッパ北部付近の海面気圧には,桑名ほか(2016)が指摘したようなアイスランド低気圧に伴う季節内変動だけでなく、それが消失する4月~10月前半における大きな季節内変動もみられた。しかも、暖候期におけるその季節内変動成分は、等価順圧的であった。また、短周期変動の振幅が冬よりも小さくなる分、日々の変動の中では季節内変動が相対的に際立った。とくに6~8月頃の50° N以北では、アイスランド~北欧付近に広がる等価順圧的な低気圧・高気圧の、季節内変動スケールでの交代が明瞭であった。6~8月頃の季節内変動スケールでの低気圧偏差時には、そのスケールの低圧部の中心~南縁付近に日々の強い低気圧が出現し、いわば異なる時間・空間スケールをもつシステムの複合体としての特徴もみられた。 一方、季節進行の一環としてのアイスランド低気圧は、3月終わり頃に消失し、10月下旬頃に再び出現したが、1~3月頃と10月下旬~12月頃ではその季節内変動の特徴の差異も大きかった。1~3月(便宜的に「冬の後半」と呼ぶ)には、アイスランド低気圧の中心気圧だけでなく中心位置の東西変動も大きかったのに対し、10月下旬~12月(「冬の前半」)には、中心位置や中心気圧の変動というよりも、低圧域の一部がより北東方まで延びるか否かという違いが、季節内変動を特徴付けていた。このように本研究は、冬のアイスランド低気圧などに伴うふるまい方が季節進行の中で変化する可能性を示唆しており(いわば冬を挟む季節進行の非対称性)、このような解釈の妥当性についても今後の検討が必要であると考える。
収録刊行物
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- 地域地理研究
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地域地理研究 25 (1), 1-19, 2020
地域地理科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390004222633980160
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- NII論文ID
- 130007924913
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- ISSN
- 2433460X
- 21878277
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可